stage.10-2 ページ16
「オーナーの名前は伏せていても不審がられない。人前で挨拶する時にはくれぐれも名前を言うんじゃないぞ」
『はい』
「あと、念には念を入れて、ディーラーをしている時は別の名前を考えておけ」
『それは…どんな名前がいいですか?』
「俺のように名字でもいいが…女性は片仮名の名前をつけている人が多いな」
急に名前を考えろ、と言われてもぱっと良い名前が思い浮かばない。こういう時は連想ゲームで攻めよう。
『うーん、カジノ…バニーガール…バニー…いや、ちょっと安直すぎるし嫌だな…バニーってうさぎだよね?うさぎ…ラビット…うーん………』
結局、数分悩んだ末に「ラヴィ」という名前にする事にしたのだ。金城さんに伝えると、すぐに従業員証を発行の手続きをしてくれた。こういう所で仕事が早い所は本当に参考になる。
「これで従業員証が出来た。まさか客や従業員たちもディーラーの中にオーナーが混じっているとは思わんだろうな」
『そうなんですか?』
「俺を含めて、今までほとんどオーナーは元がここの常連で、顔を知られてたからな。オーナーになったら場にはあまり出られなかったんだ」
『それは、その命を狙われるから…ですか?』
「もちろん、それだけではない。オーナーとは即ち、大会で優勝した人間だ。そんな人間がほいほい場に出て、勝負をしていたら面倒なものに絡まれるんだ」
『大変なんですね…』
「お前は大会の日に初めてカジノに来たから実感があまりないだろうが、格式が高いウチでも怪しげな詐欺師やイカサマ師は出入りしている。そういう奴らから客を守りつつ、捕まえるのも従業員たちの立派な仕事の一つだ」
『が、頑張ります…!』
「という訳で、今のところのブラックリストに入ってる奴らの一覧だ。現場に入るまでに頭に叩き込んでこい」
『うぇぇぇぇ…』
決意を新たにした所にトドメを刺すような山のような資料の束。っていうかブラックリストの人、多すぎない?
「ちなみに手の込んだ奴は変装をしてくる。耳の形や癖はそうそう変わらないから、見た目ではなく、そういった変わらない部分を頭に入れるようにな」
『金城さんの鬼ぃ…』
「ははは、俺でも覚えられたんだ。Aでもできるさ」
グリグリと頭を撫でられながら金城さんにそう言われると、本当に出来てしまうような気がする。これが所謂刷り込みというやつだろうか。
『頑張ります…』
結局私はそう力無く返して、少しでも金城さんに追いつけるように、と努力してしまうのだ。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです! ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります!ありがとうございます! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました!名前で呼ばれるのが嬉しいです( ̄∇ ̄*)ゞ次も頑張ってください! (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…!こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです! 応援ありがとうございます!頑張ります!!! (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です!登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください! (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2019年10月7日 13時