ココロの中、丸見えです【歌い手】

＊ ページ10

「うらたさん」

「あ゛？何？」


(可愛いむり好き尊い)



心の声うるせぇ。ただただうるさい。そして早口過ぎる。いくら声優とはいえ早すぎるのでは。



「わ、私の事どう思ってます…？」

「ゴリラとゴジラのハーフ」


(ンなの聖母マリア様に決まってんだろ。つかそれ以上だわ)


ギャップ激し過ぎだろ。というか聖母マリア様は言い過ぎな気がする。


「あぁ…そうですか」

「てか何？それだけで呼び出したの？」


(かわいい、かわいい、かわいい)



「…はい」



もうやめよう。これ以上聞いてたら私が恥ずか死ぬ。恥ずかし過ぎる。

男の人にこれ程かわいいと言われたのは初めてだ。口で言ってくれたらなんと良いことか。



「じゃ、俺は戻るから」


(戻りたくない。戻りたくねぇ、Aと喋りたい。遊びたい)



バタンとリビングから廊下に繋がる扉が閉まる。と同時に廊下の壁にもたれかかった。


(うらたさん、あんなに私のことを……)


彼のことをそんな風に見た事は一度も無い。仲の良い異性の友達としてしか見てなかった。


「男女の友情って、やっぱりないのかな…」


そんな独り言は空気に塗れて消えていった。









★☆★☆★







『(好き、って言いてぇな)』

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