声をなくした歌姫 (ページ5)

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声のない転校生:5 ページ5

キーンコーンカーンコーン･･･

HRの終わりを告げるチャイムが鳴る。
待ってましたと言わんばかりに
クラスメイト達は媛乃さんの机に集まる。

僕の通う高校はどちらかと言うと
生徒の人数は少ない。
このクラスは20人ほど。
しかし、わっとこられたら迫力がある。
うん、怖い。

隣では怒涛の質問タイムが始まっていた。
優雅に笑っていた媛乃さんだったけど
さすがにオロオロしていた。

「はいはい皆の衆、媛乃さん戸惑ってるよー」

前の席から助け船がやって来た。
委員長の奈緒だ。

「媛乃さん、あたしは華崎奈緒。
このクラスの委員長なの、よろしくね」

一瞬、ポカンとしてた媛乃さんたけど、
すぐにノートに文を書き始めた。

〈よろしくお願いします、華崎さん。〉
「んで隣にいんのが･･･」
「お？俺の紹介？」
「サッカーバカの本木翔」
「ひでぇ！？バカは余計だ！」
「んで媛乃さんの隣の男子は」
「無視すんな！」

･･･ああ、奈緒のスルースキルは絶好調だなぁ。
なんて呑気に考えていた。

「秋月幸輝、あだ名はヅッキーだよ」
「あ、うんよろしくね」

目の前の女の子は、スラスラと
ノートにペンを走らせる。

〈こちらこそ、よろしくお願いします。〉

やっぱりキレイな字で、
やっぱり彼女は笑顔だった。