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初めて私の言い分に聞く耳を持った人がいた。
「パクノダ」
そう呼ばれたグラマーな女性は私に近づく。女性だから、力差は大してないだろうけど油断するわけにはいかない。パクノダと呼ばれた女は私の目の前に立つ。警戒していると、ポンと肩に手を置かれた。
「あなたは、宝石がどこにあるか知ってる？」
「知らないって言ってるでしょう」
数秒経つと、手を離し団長らしき者の元へ戻って行った。
「本当みたい。この子、一度この部屋から離れたみたいで、そのときに盗まれたみたいよ」
その通り。なんでこんなにハッキリバレたのかわからないけれど、"念能力"の一種だろう。パクノダは集団の中でもかなり信頼されているのか、その言葉を疑う者はいなかった。
「誰が盗んだか分からない以上、ここを探し回っても危険かもね」
電話をしていた男が言う。その言葉を聞いた掃除機を持っていた女の子は不満そうな顔をした。
まあ、無駄足になったのだからその反応も仕方ないかもしれない。彼らが話し合っているとき、他のボディーガードから連絡が入った。ロキシィを護衛していた人たちは生きているようだ。しかし、廊下には倒れ込んでいる人もいるとか。
お嬢様が無事で良かった。そう思っていると、相手は小声で話を続けた。
「どうやら当主の計らいで、敷地外から出ようとした者にはセンサーが働きブザー音が鳴るようにしていただいたみたいだ」
「御意」
集団に気づかれないよう、小声で返事をすると、私はマイクの電源を切った。誰かと話しているというのを、他のボディガードに知られたくなかったからだ。
既に集団の奴らは帰ろうとしていた。目的のお宝が先に奪われたからだろう。奪った奴を探し出してくすねることも考えているのだろうが、そうはさせない。今、彼らが敷地外に出るとブザーが鳴り、私たちが集団の方に気を取られているうちにエトレアさんが隙を見て逃げ出してしまうだろう。まだブザーが鳴っていないということはまだ舘内にエトレアさんはいる。イチかバチだ。
「敷地内から出るとブザーが鳴るようになったみたい。危ないんじゃない？ 宝石のある場所は知らないけれど、見つけることは可能なの。ブザーを鳴らしてまで帰って宝石を奪った人を探し出すか、私を信頼して穏便に宝石を手に入れるか。どちらが良いかなんて一目瞭然じゃない？」
オールバックヘアーの男が振り返って私を見る。ブラックパールのような瞳が、私を映し出した。
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