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信ちゃんはビールをもう一口飲んだら
グラスに半分位残ったビールを私に渡してきて
代わりに空になった缶を取り上げてテーブルに置いた
ドライヤーのスイッチ入れて
大きな綺麗だけど男らしい手で
私の髪を優しく梳きながら乾かしてくれる
私は信ちゃんからもらったビールを飲み干すと
グラスを持ったまま目を閉じる
温かい風が頬にもに当たる
信ちゃんはターボ機能は使わない
優しく温かいドライヤーの風は
信ちゃんの優しさと似てる
さらさら髪を梳かれて
ふわふわいい気持ち
ゆらゆら体が揺れる
｢なんや今日のAは甘えモードやなぁ｣
そう信ちゃんの太くて男らしくて優しい声がしたと同時に
ドライヤーの音がやんで
信ちゃんの膝を挟んでたはずの脇に手を突っ込まれて
気がつけば信ちゃんの腿の上に座ってた
子供の頃からしっかり者で通ってた
周りからそう言われ続けて
まるで暗示にかかったみたいに
自分でもそうじゃないとダメだと思って頑張るうちに
どうやって人に甘えていいか分からなくなってた
そしてしっかり者はいつしか
可愛げのない女になってしまってた
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作者名：UTA
| 作成日時：2019年1月26日 21時
