耳元で歌わせて (赤) 3 (ページ15)

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けどAちゃんはふんわり笑て

ちゃんと熱測りながら

｢嫌やないよ｣

｢嫌やないけど緊張する｣

そう言うてくれた

体温計取り出して

平熱やったんを得意気に見せてきたから

｢下がって良かったな｣

｢おかんは緊張せんで大丈夫やで｣

｢俺が女装したらこうなるわって感じのおばちゃん｣

｢中身はめっちゃ若いし｣

｢あのヨコが一人でうち行っておかんの飯食うくらいやから｣

｢なんも緊張せんで大丈夫｣

俺がそう返したら

｢あの横山くんが？｣

｢それは心強い情報｣

そう言うてまたふんわり笑ってくれた

｢ほな決まりやな｣

｢おかんが言うてたみたいに何か食いたいもんある？｣

スマホ手に聞いたら

｢すばるくんのおばちゃんが今すばるくんに一番作ったげたいって思っとってやつが食べたい｣

そう言うてくれた

やばい

めっちゃ嬉しい

思わずギューってAちゃん抱きしめて

｢めっちゃ好きや｣

って左耳に口寄せて囁く

安定の真っ赤なAちゃんに

少しだけ長めの

ほんの少しだけ大人なキスをする

唇離したら潤んだ目で見てくるから

止まらんくなりそうになるけど

ゆっくり

ゆっくり

Aちゃんのペースでって

自分に言い聞かせて

｢ほな準備しよか？｣

｢部屋着では行かれへんもんな｣

そう笑て言うたら

｢当たり前やん！｣

｢何着てったらええんやろ？｣

言うてガバッと立ち上がって二階に駆け上がってった