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トイレからゆっくり戻ってくるAちゃんを
スマホベッドに放って
慌てて迎えに行って支えながら歩く
ベッドにゆっくり座らせて
熱を測るように言うたら
今回は抵抗せんと体温計を受け取った
｢薬飲まんなんし何か腹に入れんとな｣
｢うどんとゼリーとやったらどっちが食べれそう？｣
Aちゃんが首傾げてちょっと考えて
｢ゼリー｣
って言うたら体温計の電子音がした
｢Aちゃんは見んと俺に渡し？｣
俺に言われたAちゃんは
しぶしぶって感じやけどそのまんま渡してくれた
39度8分
｢まだあるなぁ｣
とりあえず冷蔵庫からゼリーとスポドリと冷却シートを出して
薬とコップに入れた水と一緒にベッドまで持っていく
Aちゃんはゼリーを3分の1くらい食べたあと薬飲んだ思たら
ポスッとベッドに倒れ込んだ
｢よう頑張ったな｣
そう言うて頭撫でてあげると
ゆっくり瞬きして
｢すばるくん…ご飯…｣
って俺の心配してくれるから
｢ちゃんと食うよ｣
言うてパリパリに乾いた冷却シートを新しいんと張り替える
｢Aちゃん今日も泊まっていき？｣
｢心配かけるしうちにそう言うて連絡しときや｣
｢何やったらうちの人には俺が説明しよか？｣
｢一人暮らしやから大丈夫…｣
｢でも迷惑…｣
って…あんな大きな一軒家に一人暮らしなん？
ほんま知らん事しか出て来おへんわ
｢迷惑ちゃうよ｣
｢俺のわがままに付き合うてもろとんやろ？｣
そう言うたら
｢ありがとう｣
って
泣きそうな顔で笑うから
何か俺の方が泣きそうになる
｢ほらもうちょい寝た方がええよ｣
横になったAちゃんに布団かけたら
何か言いたげに唇噛むから
｢うん？どした？｣
って頭撫でながらきく
｢…歌…｣
｢…歌ってもらってもいい？｣
｢朝寝る前に歌ってくれた歌｣
可愛い可愛い
初めてのおねだりやん
ベッドの横の床に座って歌う
お腹んとこ布団の上からとんとんして
しばらくしたら寝息が聞こえてきた
次に目ぇ覚めたら熱下がってたらええのにな
ちょっと浅めの呼吸を続けるAちゃんの顔を見てそう思った
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UTA(プロフ) - 目に見える障がいと見えない障がい。どちらがツラいとかは他人が決める事では無いですよね。ただ過剰反応せずストンと受け止めてちょっとだけ心配り出来る人でありたいと思います。 (2018年12月9日 7時) (
レス) id: 916009774d (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - UTAさん» 私は幼い頃に失聴したので、両方聞こえる感覚がわかりません。それと同じように、片耳難聴を理解してもらうことは難しいと思います。でもとりあえず、片耳難聴のことを、もっと多くの方に知ってもらいたいなと思います。書いていただいてありがとうございます。 (2018年12月8日 5時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - UTAさん» 片耳難聴を理由に実習の受け入れを拒否されたり、友達と無視したしてないのトラブルになったり。障害者として認められている訳ではなく支援も受けられないから、健聴者に紛れて、健聴者のフリをして生活するのはなかなかに大変です。 (2018年12月8日 5時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
UTA(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます。程度の重い軽いはあっても、また同じ症状であっても障がいのある方の受け止め方は千差万別なので書く事に躊躇いが無かったわけではありません。ただタブー扱いする事だけは違うという私の信念があるので…読み続けていただいて本当に嬉しいです。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 916009774d (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - やっぱり片耳が聞こえないという設定だったんですね。私も主人公と同じで右耳が聞こえません。読んでいて、座る位置とか助手席での振る舞いとか、既視感があって気になっていました。そしてやたらと感情移入してしまって、胸が苦しくなりながらも更新が楽しみでした。 (2018年12月2日 2時) (レス) id: 888490902b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：UTA
| 作成日時：2018年11月20日 5時
