耳もとで歌わせて（赤） 2

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｢よいしょ｣ってまたわざと声に出してAちゃんの横に滑り込む

昨日と同じようにAちゃんを抱き留めて

背中に回した手で


とんととん

とんととん


って優しくリズム取りながら左耳のそばで

俺らのバンドの歌『護り歌』を

子守唄代わりに

小さな小さな声で歌う


Aちゃんは俺のTシャツをキュッって握って寝息をたて始めた


その熱い体を抱きしめて

ゆっくりでええから

Aちゃんのこと知りたい

そう思いながら歌い続けた


しばらくは起きて歌ってたけど

いつの間に俺も寝てたみたいで


Aちゃんの動く気配で目が覚めた

ゆっくりと起き上がるAちゃんに声をかける



｢どうしたん？｣

｢しんどい？｣



｢ううん大丈夫｣

｢あの…トイレ借りてもいい？｣



熱のせいか恥ずかしさのせいか

赤いほっぺしてAちゃんが答える



｢あっ！ごめん｣

｢どうぞ｣



ベッドから下りてスペースを空ける

Aちゃんが立ち上がるのを支えて

そのまんまトイレのドアんとこまで

ゆっくり歩いてく


Aちゃんがチラリと俺を見上げて

恥ずかしそうにするから

手を離して部屋に戻る


スマホ確認したら2時になりかけたとこで

ヒナとヨコからLINEが入ってた



【Aちゃんどうや？】

【まだすばるんちおるんか？】

【置いては出れんやろし晩飯なんか届けよか？】



ってヨコ



【仕事は心配すんな】

【明日も2人とも休み申請しといたから】

【しっかり休んではよ治し】



ってヒナ



ほんま2人して俺に甘いわ



【ありがとう】

【コンビニしか寄れてへんから飲み物と果物があったら嬉しい】

【あとAちゃんと付き合うことになった】



そう送ったら仕事中やのに直ぐ既読2になって



【良かったな】

【詳しくはすばるんち行ってから聞くわ】



って2人してまたしても全く同じ文が送られてきた


ほんまどんだけ仲ええねん

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