検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:375 hit

秘密の難問5ページ目 ページ5

入学式から1ヶ月と少し

満開の桜は

鮮やかな緑色へ変わり



気づけばテストの1週間前である

このテスト前は部活もないらしく

放課後、結とふたりっきりの教室に残って

勉強するのが日課となった



ちなみに結はバレー部で

自己紹介のとき私も元バレー部と知って

体験入部に連れていかれそうになったが

丁重にお断りしたよ

あれは、間違ってなかったよね、うん




今日も現在進行形で

勉強中、なのだが



「ねぇ澤村、ここ分かる?」

「あー、そこはな…」



今日はクラスメートの菅原くんと澤村くんも一緒で

結いわく、

いつもAに教えてもらってて

邪魔になってるんじゃないか


らしい…

そんなこと、ないんだけど

むしろクラスメートとはいえ

あまり話したことのない男子とのほうが

緊張して集中できないっていうか

ふたりともバレー部で

結と話してるのもよく見るし

と、いうか澤村くんといるときの

結の態度はわかりやすい

本人に言ったら顔を真っ赤にしちゃうんだろうな

なんて




「水沢さん?

わからないところでもあった?」



手を止めてぼーっとしてたら

菅原くんの声に引き戻される



『ううん、なんでもないよ。

少し考え事してて』



考え事?

と不思議そうな顔をした菅原くんに

あのね、

と言いかけて止めた

シャーペンを持ち直す


“結の態度ってわかりやすいよね?”



聞こえてしまうかも

なんて思ってとっさに書いた


さっきまで解いてた数学のノートのすみっこを

ちらりと菅原くんにだけ見えるようにして


『この問題が解けないんだよね』


なんて言ってみせる

くすりと笑って



「それは難問だべ。

俺もわかんないや」



なんて言って

のってくれる彼は優しいのかも



ふたりでくすくす笑っていたら

結と澤村くんに不思議そうに見られていて




「水沢さんとのふたりの秘密だべ」



いたずらっ子のように笑う菅原くんの言葉が

なんか、くすぐったくて

さっきまでただのクラスメートだったのが

急に近く感じられたんだ

幸か不幸か6ページ目→←踏み出した4ページ目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:音無つみき | 作成日時:2019年5月26日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。