やめたら、その8 ページ22
ぱっと目を覚ます。
Aは相変わらず牢の中に居た。
昨日はあのまま寝てしまったのか、などと考えながら重たい体を起こすと、同じタイミングで討兎が中に這入ってくる。
「随分遅いお目覚めだな」
Aは彼をじっと睨むが、気にもとめない様子で討兎は話を続けた。
「江戸ならもう昼も近い時間だ、お前が怠惰な女である事は私にとって不利益ではないので口を出したりはしないが、運動不足はいただけない。今日はこの船の中を見て回るといい。人間はお前しかいないから好奇な目で見られるかもしれないが、皆お前が私の妻となることは知っている。なにか手出しをしたりはしまい」
Aはきょとんとした顔をする。
この牢から出ることは無いと思っていたからである。
「ここにお前を入れたのは、暴れられると面倒だと判断したからだ。私に妻を軟禁する趣味はないし、ここは宇宙なのだから人間であるお前はどう足掻いても脱出など出来ない。
仮に武力で優るお前が我々を倒したとしてもお前にはこの船を操る技術がないからな、意味の無いことはするべきではない。それはお前にもわかるだろう」
討兎は淡々と言葉を並べる。
「ここで貴方と生きていくのなんて嫌だもの、貴方を殺してここの皆を懐柔するかもしれないじゃない」
Aは挑発するように笑ってみせる。
「後出しの情報で申し訳ないが、少なくともこの部屋で私を殺すことはできない。
我々は人間の女を手篭めにするにあたって研究をしたのだ。
我々より力のある女をどう抑え込んだものか、とね」
「そうして我々はある事を知った。人間は生命維持のため、酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する呼吸という作業を無意識に行っている。この運動は人体に必要不可欠なもので、空気中の酸素濃度が一定以下になると上手く呼吸が出来なくなるため体調の不良や思考力の低下をもたらすというものだ。
生命維持に呼吸が必要なのは我々も同じだが、ある一点において違いがある事がわかった」
「必要な酸素濃度の違いだ。我々は酸素濃度14%で十分な呼吸が出来るが、人間は14%では酸素欠乏症になる。元々酸素の薄い星で発生した我々の特徴ということになるな」
討兎はニヤリと笑う。
なんだか嫌な予感がして、Aは自分の呼吸が浅くなって行くような気がした。
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さくらんぼ☆*.゚︎ - 初コメ失礼します!このお話 最高です!続き気になります!更新頑張ってくださいね!!応援してます! (2022年12月12日 0時) (レス) id: def3760315 (このIDを非表示/違反報告)
薄良(プロフ) - お餅さん» うわあああ申し訳ねぇ.......細かい設定を忘れ去っていました。普通に主人公の年齢と合いませんね.......細かい年齢表記削除しておきますありがとうございます (2020年2月20日 0時) (レス) id: 38546ea573 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - あの…総悟が5歳のときって土方さんいましたっけ?土方さんが来たのって総悟が13くらいのときじゃありませんでした?違ったらすみません (2020年2月19日 18時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薄良 | 作成日時:2019年5月6日 0時