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名前も知らない女性から傘を貸してもらって一週間が経った。
あの日から放課後には毎日公園に行って待っていたけど、それらしい人は現れなかった。
『...はぁ』
『ため息なんかついてどうした？龍我、好きな人でも出来た？』
『はっ！？ち、違うし...』
今日も一週間前と同じで、歳は違うけど仲のいい那須とカフェに来た。
ジュースを片手にくく、と意地悪な顔をする那須に腹を立てる。
...そういえば那須この間彼女出来たんだっけ。
『ていうか那須、いい加減彼女紹介してよ』
『嫌だね〜』
あんな可愛い子、見せるわけないでしょ、
そう小さく呟いた那須が少し可愛く思えた。
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『すっごい好きなんだね』
『うん、すっごい好き』
顔が綻んだ。
那須はなんて幸せそうに笑うんだろうと。
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人を好きなること、恋をするということ。
俺にはまだわからない感覚だった。
ただ俺はあの日に出会った吸い込まれそうな程の瞳の持ち主のことが忘れられないでいる。
『そろそろ帰る？』
『そうだね』
立ち上がった那須につられて俺も席を立った。
俺の左手には花柄の折り畳み傘。
この後、那須と別れた後にまたあの公園に向かうつもりだったから。
『あっちゃ〜、雨降ってんじゃん』
『え、？』
お会計を済ませてカフェを出ようとした時、
ドア横の窓についた雨粒が視界に映る。
『どうする？コンビニで傘買うか』
『あー、うん、そうだ...』
那須の問いかけに答える途中、視線を移したところにあった、花柄の折り畳み傘。
もしかしたら、会えるかもしれない。
なんとなく、何の確証も無いのにそんなこと事を思ってしまった。
『那須ごめん、ちょっと寄る所があるからコンビニは一人で行って！』
『え、一緒に行こうか？』
『大丈夫、じゃ！』
折り畳み傘を右手に持ち替えて手を振るように那須に向かって傘を振る。
勢いよくカフェから飛び出してあの公園に向かった。向かうつもりだったのに、何でこんなにも急いでいるんだろうと、自分でも疑問に思う程だった。
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『あれ、？ その折り畳み傘...』
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ドアが閉まった後の那須の声は誰にも届かず
俺は雨を気にすること無く走った。
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あい(プロフ) - ひまぽんさん» ひまぽんさん、コメントありがとうございます* 。続編などは少し検討させて頂きますね、これからも宜しくお願いします...！ (2019年3月25日 0時) (
レス) id: 0f506228be (このIDを非表示/違反報告)
ひまぽん(プロフ) - 龍我くんの話の続きが読んでみたいです。那須くんサイドの話も読んでみたくなりました。他の作品も楽しみにしています。 (2019年3月25日 0時) (レス) id: aeeb4a860b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2018年9月9日 21時
