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ここは、どこだろう。
草木が生い茂るこの森。
昨日は雨だったためか。小さな滴がきらりと月に照らされている。風で葉が擦れ合い、カサカサと音をたてるのも、よりいっそう不気味な雰囲気を際立たせるのには十分だった。
一番新しい記憶を呼び起こしてみると、私はいつもの不良友達と遊んでいた。
確か、日付はとっくに変わっていたと思う。
散々友達と遊んで、それから……それから私はどうした?
自分に問いかけてみても、答えを見出だすことはできない。
いつの間にか、私はここに立っていたのだ。
スマホを試しに点けてみても、圏外という文字が視界に入った。
この歳になって迷子というのか……我ながら情けない。
「だ、誰か……」
やっとの思いで発した声は、掠れていた。
ここには誰もいないのだろうか。人の気配が一切感じられない。
「ねぇ、お嬢さん?」
突如耳元で声が聞こえた。ビクっとして慌てて振り返ってみても、風が一吹きしただけで誰もいない。
幻聴……かな。
「ふふっ、こっちだよ」
また耳元で声が聞こえた。
「っ……!」
また振り返ってみると見知らぬ顔がすぐ近くにあって、思わず尻餅をついた。
誰か分からない人は腰を落として、私の顔を覗きこむ。
「ふーん……。そんなに怖がることないのに」
そう言って、グリーンの瞳が妖しく光った。
逃げなきゃ……。
反射的にそう思う。本能がこいつは危ないと、警報を鳴り響かせているのだ。でも、肝心の体が動かない。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2022年12月8日 18時) (レス) @page7 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
名も無い狐。 - ありがとうございます……! 更新は遅くなると思われますが、それでも読んでくださると嬉しいです。 更新、頑張ります! (2020年8月15日 22時) (レス) id: 9bfaf1b9c3 (このIDを非表示/違反報告)
フシタズカ(プロフ) - 読ませていただきましたー!すっっっごく面白かったです!更新頑張ってください! (2020年8月14日 7時) (レス) id: f9b0d9b52e (このIDを非表示/違反報告)
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