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「へーAちゃん言うんやな！」
「はい、坂田さんは……？」
「俺？俺は坂田優！
優しいっていう漢字一文字でゆう！
あ、俺のことは名前で読んでな！
改めてよろしく、Aちゃん！」
「えぇ、改めてよろしくお願いします、優さん」
いつものバイトの時のような営業スマイルとかではなく、すごく自然に彼へと微笑めた。
坂田さん…優さんは周りを自然に笑顔にできる人だ。
彼とのバイト中のちょっとした会話でも営業スマイルなんてものは少しだが消える。
他のお客さんだとどうかと聞かれるとそうはいかないのだ。
いつもは仮面でもつける気分だった。
ヘラヘラニコニコ笑って過ごして。
でも、彼と話をしているとそんな作った笑い方じゃなくて本当に楽しくて笑ってしまう。
これが彼の、坂田優の魅力のひとつなんだろうな。と心の隅で思った。
コンコンッと戸を叩いて、茜さんがやってきた。
「はい、Aちゃん！
注文の品持ってきたよ〜！」
「ありがとうございます！
いつみても美味しそうですよね、茜さんの作る玉子焼き！」
「そう？
Aちゃんに褒められるんってなんか嬉しいわぁ」
ヘヘッと笑う彼女は実年齢よりもかなり若く見える。
いつまでも若々しいって素晴らしいね。
なんて思いながら、少しだけ茜さんと話して彼女は菊の間を去った。
私と茜さんが話してる間、優さんはキラキラとした目で机に並べられた料理を見ていた。
「さて、それじゃあひとまず乾杯しましょうか」
「あ、うん！
んじゃー、かんぱーいっ！」
優さんの持ってるグラスと私のジョッキをカツンッと合わせ、優さんは少しだけ、私はがぶ飲みした。
ぷはーっとおじさんのように言うと優さんに少し笑われてしまった。
別にいいし。もう気にしないし。
なんて心の中で呟いて、それで？と彼の方を見つめる。
肝心の彼は、ん？と焼き鳥を口に入れながら言った。
「ん？じゃなくて、今日のこと詳しく教えてくださいよ
そのためにこの店来たんですから」
「ん、そやったな！
んー、どっから話せばいい？」
「とりあえずその女の子との関係についてで。」
ネタになりそうなのがあったら次の脚本に使おう。
そんなことを考える私はやっぱり冷たいのか、ただのクズなのか。
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作者名：moe | 作成日時：2017年12月26日 3時
