【志/麻】最後の晩餐【坂/田】 (ページ2)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:5,526 hit

月崎志麻ページ2

「志麻、昨日渡した書類の作成はおわったのか」

「志麻、月崎財閥の御曹司たるもの、男であろうと家事を出来なくてはいけません」

「坊ちゃん、武道の練習を」

「坊ちゃん、そのようなお召し物は」

「坊ちゃん、そんな味の濃いものを食べては味覚が」

あぁ、うんざりだ。

坊ちゃん、坊ちゃんと呼ばれ、毎日毎日やりたくもないことばかりさせられる。服の自由も、食事の自由も無い。好きに運動もさせてくれない。これじゃ軟禁だ。

スマホを見ているだけで「目が悪くなから」と取り上げられる。じゃあ毎日パソコンばっかり眺めてるあのクソ親父はどうなんだ。

月崎財閥の御曹司がなんだ。生まれる家によってこんなに生活が変わるのか。毎日馬鹿みたいに時間をかけてメシ作る暇と金があるなら、その分の金を寄付しろ。俺に使うな。

一番癪なのが、嫁を勝手に決められることだ。嫌だと言ったら同じやつは連れて来ないが、次々と新しいやつが来る。

＿＿＿＿＿＿＿月崎財閥。

まあ国に大きく貢献するただの金持ちだ。俺はその財源の一人息子。子宝に恵まれなかったらしい。ふにゃちんが。

別に金持ちの家に生まれたのはいい。金さえあれば大体の物は手に入る。だが、俺には金があっても‶自由‶がない。跡継ぎを育てるのに必死に両親は、俺の気持ちは二の次でとにかく十分な教育を、と考えている。勉強も家事も全て本人の気持ち次第だということを知らないらしい。でも俺にはこの道以外選ぶ権利がない。将来この家を継がなければ、俺に生きる道は無い。だから仕方なくだ。この家を継げば俺の将来は保証される。

あと、一応仲のいい使用人はいる。センラ、という男。年齢は知らないが一番近い。京都訛りが特徴的で、この家の中じゃ唯一の理解者。俺がいたずらをしたいときは手伝てくれるし、怒られるときは一緒に怒られてくれる。こいつのおかげで大分ストレスも減る。居なかったら今頃どれだけぐれて居ることやら。

そして俺と同じ悩みをもつ、友達の坂田。

坂田財閥の御曹司、坂田優。名前通り、優しいやつだ。坂田の家もまた、日本でも指折りの金持ちだ。そして一人息子。だからこそ、俺と仲がいい。互いの事をよく理解していると思う。坂田とは会う機会が多いし、よく話す。その時、イライラしていることも全て話す。これで俺のストレスは更に減ってくれる。

＿＿＿＿＿＿＿＿自由が欲しい。