手向けられた毒−�� ページ37
数分の間、僕とコナンくんの間に気まずい沈黙が流れる。
「…戻ろっか。お腹空いたし」
耐え切れず困ったように笑み、コナンくんの手を引いて山を降りた。コナンくんはどうすれば良いか分からないように黙っていた。
「コナンくん、ご飯は食べた？」
「え…いや、まだ」
「そっか。ダメだよ？抜いちゃ」
「遥斗兄ちゃんだってそうでしょ？」
「僕は空気食ったから」
「屁理屈だね」
呆れた視線が刺さる。しょーがねーだろ、僕一人だと母さんに頼んだらデスソース付きで出してきそうなんだよ。
「あ、そうだ。昨日僕は君を同等、もしくはそれ以上で見てるって君は言ったよね」
「…！うん、そうだよ」
「君や灰原ちゃんを前にすると度々幻覚が見えるんだよね」
「…幻覚？」
「君達がちょうど大人になったような…そんな姿がね」
「…！」
「よしコナンくん、あそこまで競争だ！負けた方奢りな！」
「あ…っ！？こら待て！」
公道に出ると同時に、何か聞き出したげなコナンくんを置き去りにして走る。朝にも関わらず、閑静な山間部には声が二つ響いた。
「ただいまー。あ、沙都子久しぶり」
食堂に入り、見慣れぬ姿が見えた。小宮沙都子、…そして厨房には関口智樹。前の世界にはいなかった、僕の知らない幼馴染だ。
僕とコナンくんは注文を頼み、もう既に食べ終わったらしい子ども達のそばに座る。ん？灰原ちゃんに落ち着きが見られない。
適当に子ども達と雑談し、焼きそばとチャーハンが届く。腹減ったから余計に美味そうに感じる。いただきます、と手を合わせて食べ進めてしばらくすると、灰原ちゃんがくいくいと僕の服の裾を引っ張った。何か話があるらしい。
「ねぇ、どうして私だけ灰原ちゃん呼びなの？」
箸を持つ手が、脱力した。箸が重力に従って皿に落ちる。
「え？あー…うーん」
思考が真っ白になる。言い訳を考えねばならないのに、何も思い浮かばない。
――ダメだ、あの子を思い出されると、どうしても何も考えられなくなる。
「ははは…それはまぁ、ほら、ノリ、っていうか？」
「ノリって何よ…って、どうしたの？」
「遥斗兄ちゃん？」
視界が回る。ぼやける。歪む。
胃の中から急に不快感がして喉が痛くなる。息が苦しい。子ども達が心配して見てる。汗が止まらない。
(なんで？どうして、)
「ッ、遥斗兄ちゃん！」
「遥斗さんッ！」
テーブルに倒れ込む。声がガンガンと頭に響いて、いたい。暗い水に沈むような、冷たい不快な感覚。
意識が暗転していく。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
