内緒。 ページ45
「最近見ねーな、遥斗さん」
博士の家で飲み物を飲みながら、目の前にいる灰原にぼやいてみる。すると彼女は溜息を吐いて、スマホをいじり出した。
「知らないの？彼、顔バレしたらしいわよ」
「…顔バレ？」
ほら、と彼女はスマホ画面をオレに見せる。そこに映っていたのは、酷く真面目な顔をした彼だった。視線はカメラ向きではなく、少し距離を取って撮られている事から、どうやら盗撮されたらしい。
道理でここ一週間、見ないワケだ。どこにでも行きそうだし、いそうだったのに。
「彼から連絡あったけど、しばらくは忙しいからポアロにすら顔を出せなくなるって」
「ああ…にしてもあの人もこんな顔するんだな。いつもふざけてるのに」
「この前、この写真について彼がSNSで言ってたけど、"バケットキルって買い物メモに書かれてたんだけど何の事か分からなくて、バケットで人を殺すのか…？って考えてた"らしいわよ」
「思ったよりしょうもなかった…」
「ちなみに真相はバケットをカットしてもらうって事らしいわ」
「
やっぱり倉間遥斗は倉間遥斗だった。
「にしても灰原、いつの間に遥斗さんと連絡先なんて交換したんだ？」
「"何かあった時助けてくれ"だそうよ」
「困ったら小学生に頼るのはどーなんだよ…」
「お陰でいつでも呼び出せて便利よ」
「オイオイ…」
上機嫌そうに口角を上げる彼女に呆れた。どっちもどっちだったな…かく言うオレも同じ事を言われて、あの人と連絡先交換したが。
「…そういや灰原、あの人は平気なのか？」
「何が？」
「いや、組織の奴みてーな感じはしないのか？」
「しないけど」
「そうか…うーん、じゃあオレの勘違いだったのか…？」
ひょっとしたら本当にオレの勘違いだったのかもしれない。いや、でも…
『ねぇ倉間さん、今何か言った？ノック…がどうとか聞こえたけど』
『うん？…ああ、ノックスの十戒についてだよ』
『そっか！でも何で急に？』
『…何となく…？』
『何となくって何？』
下手くそに誤魔化されたが、あの時何の脈絡も無くノックスの十戒についてどうして呟いた？――あの事件の時に。
多分彼は別の事について呟いていた。全部は聞き取れなかったが…
「…ま、組織とは繋がってないけど、組織を知っているかもね」
「…！って、何でそう言えるんだ？」
案外楽観的な彼女に"らしくない"と思った。組織から離れて気が抜けてるのか、それとも――…
「さぁね」
灰原は意地悪く笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 387人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - 乌罗伊利亚さん» コメントありがとうございます。ギャグは詰め込められる分だけ詰め込めたつもりなので、笑わせられたなら嬉しい限りです。 (6月27日 19時) (
レス) @page48 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
乌罗伊利亚 - とても面白かったです 結構笑いましたw (6月27日 19時) (レス) @page22 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - あのさん» コメントありがとうございます。この度は私の勘違いによりご不快な思いをおかけし、申し訳ございませんでした。近日中に訂正し、直したものを改めて投稿しようと思います。 (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 東都タワーや東都水族館は “東京都“ にあります。毛利探偵事務所の住所は東京都米花市米花町です。東京でゼロと言う友達が出来たという台詞もあるのに、いまだにこんな勘違いしてる人いるんですね (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7fdd3aee01 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 霜さん» コメントありがとうございます。気に入っていただけた上にそのようなお言葉まで頂けるとは光栄です。 (2022年5月27日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2022年4月23日 0時
