傷だらけの晴れ男 ページ23
「お待たせ…ん？」
机に突っ伏して眠る彼に気付き、肩をすくめた。来店した時からいつもより覇気が無いとは思ったが、まさか眠かったからだなんて。
…ひょっとして、昨日の事件のせいであまり眠れなかったのだろうか。
「やれやれ…」
オレンジジュースを彼のそばに置き、起こそうと彼の肩に手をかけた。ふと、彼のハイネックが目に入る。
パーカー、シャツ、セーター。奇抜にならない程度に色んな服装を着る彼だが、何故か中に着るハイネックは欠かさない。本人は寒がりでは無いらしいが。
『あ゛ーあっちィ…』
『そのハイネックは脱いだらどう？』
『やだ、コナンくんってば"脱いで裸になれ"だなんてハレンチ！』
『暑さで頭でもおかしくなったの？』
『元からだよ』
『自覚はあるんだ…』
前に聞いた、コナン君と彼の会話を思い出す。"刺青がある"だの"見たら石化する"だのコナン君には茶化していたが、見られたら困る物でもあるのだろうか。
彼の髪型はいわゆるウルフカットだ。襟足は首を隠すように長い。亜麻色ではねっ気の強い彼の後ろ髪をどかし、黒いハイネックの襟をそっとめくる。
「…？これは…」
首の裏に薄い線のような物を見つける。もっとよく見る為に、より襟をめくり、指でなぞった。
――傷痕、か？それも古い…少なくとも、最近のものでは無い…
「――――…触んな」
ぱし、と彼の首に伸ばしていた手がはたかれる。手に伝わる衝撃と鼓膜を震わす低音な響きへの驚きで、一瞬声を失った。とても眠そうなグレーの片目と目が合う。今にも瞼は落ちそうなのにその瞳はすこぶる鋭く、不機嫌さがよく伝わった。
「起こしてしまったかな」
「…ん、あれ…あ…？」
彼は瞬きを繰り返し、眠気を引きずりながらのろのろと身を起こす。数秒かけて彼は自分が今した事を振り返ったらしく、面白いくらい顔を青褪めさせておろおろしだした。
「うわぁぁあすみません安室さん、傷付けるような意図は無くて！」
「分かってるよ」
「その気があればもっと悪質な反撃をしてます！」
「その弁明はいらなかったかな」
よく知ってる彼に戻った。めくった襟は元に戻され、相変わらず髪ははねてる。
「どうしよ、殺される…」
「殺されるって誰にだい？」
「100億に殺されます！」
「君はまだ夢の中なのかい？」
突拍子も無い話をするのも、いつもの彼らしかった。
「…昨日の分のお詫びも含めて、今日は奢りでいいよ」
「！なら今から友達呼んできますね！」
「それはやめてくれ」
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想世(プロフ) - 乌罗伊利亚さん» コメントありがとうございます。ギャグは詰め込められる分だけ詰め込めたつもりなので、笑わせられたなら嬉しい限りです。 (6月27日 19時) (
レス) @page48 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
乌罗伊利亚 - とても面白かったです 結構笑いましたw (6月27日 19時) (レス) @page22 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - あのさん» コメントありがとうございます。この度は私の勘違いによりご不快な思いをおかけし、申し訳ございませんでした。近日中に訂正し、直したものを改めて投稿しようと思います。 (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 東都タワーや東都水族館は “東京都“ にあります。毛利探偵事務所の住所は東京都米花市米花町です。東京でゼロと言う友達が出来たという台詞もあるのに、いまだにこんな勘違いしてる人いるんですね (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7fdd3aee01 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 霜さん» コメントありがとうございます。気に入っていただけた上にそのようなお言葉まで頂けるとは光栄です。 (2022年5月27日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2022年4月23日 0時
