春を眠らすケの遣い−�� ページ21
――間に合え。
――――届けッ！
「危ねェェエエエ！！」
「うわぁ何だ君は！？」
ダッシュでファミレス内を駆けると、男性が飲もうとしていたマグカップを手ではたき落とし、床に落とす。この場はたちまち騒然となり、カップに入っていたコーヒーは僕らの足下の床を濡らした。当然僕を非難する者も出てくる。が、ちょっと待って欲しい。僕が何の理由も無く、人が飲もうとしていたコーヒーをこぼそうとする訳無いだろ？
「あの人がコーヒーに何か液体を混ぜてるの見ました！」
「は、はぁ！？」
ウェイターに指をさし、予め呼んだ人に落としたコーヒーを簡易検査キットで調べるよう頼む。
「…致死量を越えた毒だね」
「よし！すみません、ソイツ取り押さえさせて下さい！」
この状況に置いていかれる客を更に置いていき、犯人を取り押さえる。手慣れてしまったもんだ、今では。
パッパと警察を呼んで、後は全部任せて、事情聴取済ませて、終わり！事件は解決！――どうしてこうなると分かったかって？ヒントは原作知識。
「またつまらぬ事件を斬ってしまったぜ…」
「石川五ェ門かな？」
先程の科警研の人が僕に苦笑した。温厚な雰囲気を醸し出す、ダンディな男だった。
「さて、用事が終わったからね。俺は仕事場に戻らせてもらうよ」
「悪いね、父さん」
「義息子からの頼みだ、しかもお陰でほぼ毎回事件を未然に防げているからね。上からのお咎めも無いから、気にしないでいいさ」
――青木一雄。この人はどうやら、この世界の僕の父親"らしい"。
僕は幼い頃に親が離婚し、おかんの方に引き取られたのだが、東京へ行こうとするまで父親はいなかった。この世界では再婚出来たらしい。ただ困った事に、僕とこの世界の僕が入れ替わる前に再婚したものだから、当初は全然知らなかった。今ですら慣れない。…異物感が、拭えない。
「じゃあ僕は帰るから、今日はありがとね」
「ああ、気を付けるんだよ」
いくら僕でも気まずい。ここに用はもう無いので、逃げるように場を後にし、…帰る気分でも無かったので、ポアロへ行った。
「いらっしゃいま…何だ、君か」
「仮にも僕、お客さんなんですけど…」
「昨日のお返しだよ」
「ちぇっ、器の小さい男ですね！」
「マスターに相談しても良いんだが？」
「安室さん、今日もステキですね！」
「君は肝が小さい男だな…」
口を尖らせ不満げな顔から一転、胡麻をするようにニコニコ笑顔に変わると、安室さんは溜息混じりに呟いた。
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想世(プロフ) - 乌罗伊利亚さん» コメントありがとうございます。ギャグは詰め込められる分だけ詰め込めたつもりなので、笑わせられたなら嬉しい限りです。 (6月27日 19時) (
レス) @page48 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
乌罗伊利亚 - とても面白かったです 結構笑いましたw (6月27日 19時) (レス) @page22 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - あのさん» コメントありがとうございます。この度は私の勘違いによりご不快な思いをおかけし、申し訳ございませんでした。近日中に訂正し、直したものを改めて投稿しようと思います。 (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 東都タワーや東都水族館は “東京都“ にあります。毛利探偵事務所の住所は東京都米花市米花町です。東京でゼロと言う友達が出来たという台詞もあるのに、いまだにこんな勘違いしてる人いるんですね (2023年5月2日 17時) (レス) id: 7fdd3aee01 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 霜さん» コメントありがとうございます。気に入っていただけた上にそのようなお言葉まで頂けるとは光栄です。 (2022年5月27日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2022年4月23日 0時
