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吸血鬼。

それはかつて西洋の人々を震撼させた、宵闇の支配者。人を含めた動物の血肉を喰らう化け物。世界中で最も有名な不死の存在。

不死とは言われているものの、奴らを滅する(すべ)が無いわけではない。奴らは十字架やニンニクを嫌い、銀のナイフで心臓を貫いたり、その身を我らが聖なる太陽の光の(もと)へと晒せばやがて死に至る。

吸血鬼を恐れた、あるいは奴らに大切な存在を奪われた人間は吸血鬼ハンターとなり、こぞって吸血鬼を滅しようと躍起になる。



――だが、人間がわざわざ手を下さなくとも、吸血鬼を滅ぼす方法はあるのだ。




これは、そんな方法で滅んだ、とある吸血鬼の男の話だ。




_____




血の気の無い浮世離れした彼は、死の気配をまとっていました。妖しい雰囲気に、私は生きた心地がしませんでした。

それでも逃げずに接したのは、彼がどこか寂しげで儚く、目を離せば独りで生涯を過ごすのだろうと確信したからです。

独りは人にとって、とても辛いことです。ですから、私は彼を独りにしまいと、あの月にも負けないくらいの笑顔を向けました。



まさかそれが人ならざる彼の緩やかな死を誘っていただなんて、思いもしなかったのです。執筆状態:完結










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設定タグ:オリジナル , 吸血鬼 , 男主   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:想世 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/  
作成日時:2023年1月17日 21時

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