惜花を散らされて ページ39
灰原と遥斗さんが誘拐され、遥斗さんが爆発に巻き込まれてから数週間が経った。謎の爆発の原因は、硝酸アンモニウム水溶液とヒドラジンが混ざり合った事による爆発から、薬品庫にあった化学物質が化学反応を起こしての連鎖反応による爆発。幸い死者は爆発元近くにいた二人以外にはいなかったが、軽傷者は多かった。あの爆発は連日お茶の間を騒がせるニュースとなり、どの番組でも騒動されたが、日を跨げば結局は別の事件が引っ張りだことなった。
「灰原…」
「…江戸川君、ごめんなさい。今はそっとさせて…」
憮然とした様子で小学校への登校すら出来ず意気消沈している灰原には、時間が必要だった。元々APTX4869の解毒剤を作る為に休みがちになっていたが、今のアイツは完全に登校を拒否していた。
無理も無い。遥斗さんは灰原を逃がそうとアルマの元へ留まった。だから、アルマ以外で遥斗さんに会ったのは彼女が最後だった。自責の念は大きいだろう。何度か声をかけたが、今のように彼女には響かなかった。彼女の言う通り、そっとしておくのが最善だろう。
少なくとも、早計な真似はしまい。灰原は博士に任せて、博士の家を出た。
遥斗さんの遺体は、それを一目で人の遺体と認識する事は出来ないくらい酷いものだった。何せ肉塊でしかなかった。未だDNA鑑定に勤しまれている程だ。まだ時間はかかるだろう。彼の葬式も、その後になる。
だが何故か爆発現場にあったある人形だけは、無傷でその場に佇んでいた。
『遥斗さんによく似ていたよ。…出来はなんとも言いがたいものだが』
そう苦々しく告げた安室さんは、前に見た時より疲弊した様子だった。心労もあるが、それよりあの爆破事件の後処理などで忙しいのだろう。ポアロをもう何日も休んでいる。
これから遥斗さんの母親の保護解除の手続きや、葬式の後には遺品整理もあるだろう。突然の死だった為に遺言書などある訳が無いし、遥斗さんの遺品は全て母親の青木遥子さんの元へ行く。
(…遺言書か)
そういえば、あの人がまだ死にたがっていた時に遺言状があったか。
(でも灰原はもう捨てたんだよな)
彼女いわく、"死ななかったんだから不要でしょ"と捨てたらしい。だから、手元には残っていないだろう。
(――灰原はまだ、遥斗さんの死を受け入れられてないように見える)
ゆっくり時間をかけて受け入れなくてはならない。それが、残されたオレ達の義務でもある。
握った拳には、自然と力が入っていた。
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
