嘘つきな彼。3

115 ページ36

ランチ済ませて


社内に戻ると


北山さんの姿が目に入った。



あれ、社内に戻るのは夕方じゃ…






北「あ！俺の補佐！」




そう言って笑いながらこっちに来た。



え？


ええ？


何なのその不気味な笑みは。




「…なんですか？」


北「…俺の補佐になったんだろ？」


「…なりましたけど」


北「んふふっ。じゃ早速仕事頼んでいい？」


「…は？」


北「俺の昼飯買って来て」


「…はぁ？」


北「ね？お願いっ！」





…補佐って言うより


コレってパシリじゃん。




北「さっきまで外回りで飯食ってねぇの。

腹減って死にそうなんだわ」



「知りませんよ。自分で買って来てください。

私も忙しいんです」



北「ひでぇな。そんなんじゃ俺の補佐勤まらねぇぞ」



「……」







何それ！！


前から思ってたけど


この人、たまに面倒くさい。




でも、好きなんだよね。


痛いな、私。






「…何がいいんですか？」


北「…え？買って来てくれんの？」


「え？頼んだのは北山さんじゃないですか」


北「ふふふっ、お前、可愛いーな」


「な、なっ…」





お前、可愛いーなって。


は、はい？！




ふふふっと笑って


自分のデスクに座る北山さん。





もう、何なの？




北「じゃぁ、安兵衛の弁当が食べたい。よろしく」


「…わ、わかりました。行ってきます」




財布握りしめて


フロアを出て行く。




「…私、何してんだろ」




従順過ぎない？


言いなりになってるし。





「はぁ〜」




でも、断らなかったのは


ちょこっとだけ必要とされた事が


嬉しかった。



まぁ、パシリなんだけど。


でも、私に頼んでくれたから。


年下が私しか居ないからかもしれないけど。





でもいいの。


好きだからしょうがない。


何でも受け入れてしまう。



この甘え上手が！


って言ってやりたいけど




それを聞いてる私も


痛い人だな。






成美ちゃんが聞いたら


笑われちゃうよ。

116→←114

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す