#89 昔のこと ページ9
.
「...あ? 誰アンタ」
「離せっつってんだろ」
3人の男子たちの、真ん中。
私の腕を掴んでいるその人の肩を誰かが引いていた。
「しょぉ...」
声が掠れていた。
怖かったからだ。
昔はぐれた時も、こうだった。
泣きながら歩いていたら、
息を切らした翔が、私の名前を呼びながら走ってきて、
その姿を見たときに、泣きながら名前を呼んだ。
その時も声が掠れていた。
「汚ぇ手でソイツに触んじゃねぇよ」
ギロリとその男子たちを睨む櫻井は
...いつもよりもっと不機嫌に見えた。
「は、なんだそれ」
「つまんね。もういいわ」
パッと掴まれていた手が自由になった。
それと同時になんだか心も軽くなったような気がして。
その知らない男子たちは櫻井を睨みながらどこかへ行ってしまった。
...怖かった。
でも、怖いときはいつだって、私は、
「...お前もこんなところで何して...っ」
「翔っ...!」
隣にいた翔に近づいて
服の裾にギュッとしがみつけば、安心できた。
「怖かった...っ」
「.......あぁ」
こういう時にいつも隣にいてくれる翔が、ずっと好きだった。
.
..
「...おい、そろそろ離れろ。服がシワつく」
「えっ...あっ」
何分くらい経っただろう。
頭の上から声がして、ふと我に返った。
...私、櫻井にしがみついてる...!
な、何してんの私...!
昔ならともかく、今の櫻井なんて
またすぐ不機嫌になるに決まってる。
「ごっ...ごめん...!」
「...あぁ」
パッと離れて櫻井の顔を見上げたけど
特に怒ってはいなさそうで、ホッとした。
...無表情だけど。
それにしても...恥ずかしい。
いくら怖かったからって
昔のことを思い出したからって...
...櫻井に駆け寄って服を掴むなんて。
今じゃ絶対しないしできないことをやっちゃうなんて。
昔は、優しく頭を撫でてくれたりしたけど...
今は...嫌なんだろうな。
だって、離れろなんて言われちゃったし。
やだ、もう、私...何してるんだろう
恥ずかしくて、ずっと心臓がドキドキうるさかった。
...ていうか、
「な、なんで櫻井...助けてくれたの...」
「...見えたら助けるだろ、普通」
「いつもだったら助けてくれないもん」
「...いつもってお前、ナンパされたことあんのか?」
「それはないけど...」
ないけど!
...私が困ってても笑って馬鹿にしてくるじゃん
.
ラッキーカラー
あずきいろ
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にゃんちき(プロフ) - もうすぐ終わると思うと寂しくなってしまう(笑)もうちょっと主人公ちゃんにぐずぐずして欲しい気もするし、先の展開も気になる。我が儘な読者ですみませんm(__)m次回楽しみにしてます！ (2019年2月12日 19時) (
レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
りりい(プロフ) - ドキドキしながら楽しみに待っています！！！！！テスト頑張ってください♪ (2019年2月11日 12時) (レス) id: 02295b7ebb (このIDを非表示/違反報告)
sakura(プロフ) - いよいよ結末に向かうんですね。毎回ドキドキしながら読ませてもらってたので寂しいけど待ち遠しくもあります。主人公ちゃん今まで冷たくされてた分翔くんにたっぷり甘やかされるとこが見たいな〜なんて(*^^*)どうなるのか楽しみにしています！ (2019年2月11日 1時) (レス) id: 3edecb291f (このIDを非表示/違反報告)
よっぴ(プロフ) - ほんっとに面白いです！結末がどんなになるか気になりますけどまだ終わってほしくないと思っちゃいます（ ; ; ） 更新楽しみにしてます！！ (2019年2月4日 3時) (レス) id: e4bb881f7f (このIDを非表示/違反報告)
松本なお - sakuraさん» ありがとうございます！二人の会話好きと言っていただけるのは嬉しいです(>∀<) 自分も割と好きなので笑 甘い翔くんが見れるのはいつになることやら…のんびりお待ちくださいませ。 (2019年1月27日 5時) (レス) id: 8b96e774f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんでぃー
| 作成日時：2019年1月1日 4時
