#20 棘 ページ20
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櫻井は、私の前まで来てぴたりと足を止める
「.....調子乗んなっつってんだろ」
「え.....んっ!?」
ぼそりと小さく低く呟くと
いきなり私の後頭部に片手を回して、
...私の唇に、自身のソレを重ねた。
一瞬のことだったけど、
後頭部がガッチリ抑えられて固定されていたから逃げられなかった。
「な....いきなり何...っ!!?」
ドキドキとうるさい鼓動を櫻井に聞かれたくなくて
少し大きめの声でそう言った。
...もう、何度目かわからないこの一瞬だけのキスに
私はまだ慣れないのだ。
意味が解らない、なんで今...。
櫻井が、鋭い目つきで私を見下ろす。
...今日も、機嫌が悪い。
...だけど、
その目つきをかっこいいと思ってしまう自分がいるのだ。
...あり得ない。
付き合ってもないのにいきなりキスしてくるような男のどこがかっこいいんだ。
私の思考は、きっとどこかおかしい。
「.....さっさと帰れ」
「...え?」
ドキドキが収まらなくて、ただじっと櫻井を見ていた。
そしたら、いつもみたいに低い声でそう言うから
なんとなく、背筋がヒヤッと冷たくなったように感じた。
「俺が片付けてやるよ。鍵も俺が閉める。
...だから帰れ。邪魔」
そう言って、散らばった本を拾い始めた。
その櫻井の言葉に、今度は胸がズキッと痛む。
「...そぅ.....」
手伝ってくれたらいいのに、って思った。
一人で夜の図書室なんていたくないのに、って思った。
だから、何も傷つくことはないはずなのに
その言葉が棘のように私の心に刺さるのだ。
さっきまでの私の考えと矛盾するように傷つく私の心に
...私もわからない。
...結局、私は櫻井になんて言葉をかけられたかったんだろう
なんて言われてたら
こんなに、涙が零れそうになってなかったんだろう。
「.....分かった、帰る」
「は...?」
出た声は、誰が聞いても涙声だと答えるだろう。
それくらい掠れていた。
俯いて散らばった本を集めていた櫻井にもそれが分かったらしく
不思議そうな声を出して顔を上げた。
ヤバイ、と咄嗟に櫻井に背を向けた。
だって、泣いてる顔なんて櫻井に見られたくない。
....櫻井の言葉で泣いたなんて、知られたくない。
「おいっ.....A!」
私は、逃げるようにその場を後にした。
頬に伝う涙のことは、知らないフリをしたかった。
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ラッキーカラー
あずきいろ
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あんでぃー - 菜美恵さん» ありがとうございます！翔くん何考えてるんでしょうね？ のんびり進んでいきそうな予感なので今後もよろしくお願いします(・ω・)ノ (2016年10月9日 2時) (
レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
菜美恵(プロフ) - 泣いちゃいましたね…。もう何考えてんだか。って怒りたくなっちゃいました(笑)。何て声をかけられたかったのか……難しいですね。恋って難しいなと感じました。追いかけてくれたら……なんて都合がよすぎるかな？と。次の展開が楽しみです！ (2016年10月4日 23時) (レス) id: ef62e078b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんでぃー - のりさん» コメントありがとうございます！ 向こうの方も読んでくださったみたいで嬉しいです！ のんびりですが更新していきますので今後もよろしくお願いします(＞人＜;) (2016年10月4日 23時) (レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - はじめまして。あちらのかわいい翔くんも好きですが、こちらの冷たい翔くんのが好きかもしれない…ということに気付いたことをお知らせしたくｺﾒさせて頂きました笑 更新楽しみにしてます。 (2016年10月1日 11時) (レス) id: 48b765175f (このIDを非表示/違反報告)
あんでぃー - 赤澤さん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけるのは嬉しいです(*´∀｀*) 今後もよろしくお願いします！ (2016年9月24日 22時) (レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんでぃー
| 作成日時：2016年9月21日 18時
