嘘恋＿ K.Yasui 2

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「泣いたり笑ったり、お前はお前でいいんだよ。また心の整理ができたら聞かせてよ、Aの気持ち」






そう言って、顕嵐は笑った





何度も私にくれた笑顔で





謙ちゃんは、いつかなんて来ないと言っていた





でも、私たちが少しずつ変わっていけたら





自分のまま、成長できたら





その「いつか」は、いつか来て





何年経っても、伝えたい想いは同じはずで





謙ちゃんが遠くへ行ってしまう前に





伝えたいこと、私にはある





「俺はAが笑ってたらそれでいいから」


「それは…どういう意味？」


「俺はお前の恋を応援したいって意味」






顕嵐はもう、あの日のように悲しい顔をしていなかった





ただ純粋に、私を想ってくれた






「それまで俺がそばに居るから」





優しく私の頭を撫でると、顕嵐は私の頰に短くキスをした






そのまま何も言わずに母にだけお礼を言うと、顕嵐は家を出て行った






彼の優しさに甘えてばかり





自分から、謙ちゃんから逃げるために彼に頼るばかり






そんな自分が、嫌いになった

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