3.花嫁とのなれそめ ページ9
＊
母親に連れられて近所の中でも目を引く、バカデカい敷地の家に入ってからその家の女の子と友達になるよう言われたのが始まりだった。
その家の使用人に連れられるまま母親と離れ、奥へと案内される。
「お嬢様はこの部屋にいらっしゃいます」
そう言って使用人はさっさと退散してしまった。
今思えばそれは使用人なりの配慮だったのだろう。
渋々と部屋に入れば"花"が咲いていた。
『……どなた?』
消え入りそうにか細い、誰かと問う声。
たおやかで、その声だけでも如何にもお姫様といったような感じがする。
どこか儚い、触れれば溶けてしまいそうな雪のような印象を幼いながらに抱いた。
しかしその美貌は大輪の花のように咲き誇り、他者の視線を釘付けにさせる。
「お前、名前は」
『……A』
おっとり、と言うのだろうか。
話してみればお淑やかだが、どことなく他人とは違う不思議ちゃんのような危なっかしさを覚える。
「へぇ、オレは若狭。今牛若狭」
オレがちゃんとみてなきゃいけない。
そう思わせるほどにふわふわとしていた。
『ワカちゃん、女の子はオレなんて言っちゃダメだよ。男の子じゃないんだから』
「……オレは男だけど」
『……?、可愛い顔してるから女の子かなって思ったの。ごめんなさい』
「はぁ……、まぁイイけど。それより遊ぼうぜ。お前ん家、何かある?」
Aはきょとん、と首を傾げた後に広い広い部屋の奥へ行き、一抱えもする桐箱を持ってきた。
『鞠、花札、貝合わせ。カルタとか百人一首、お人形とかあとは……』
「もうイイ。オレ花札とか分かんねぇし。人形遊びもしねぇよ。外行こうぜ」
『お庭に行くの?』
「は?公園だけど」
『こうえん……?』
公園と言ってもピンときていない彼女に、幼いながらにAは箱入りなんだということを察した。
その後、なんとか両方の両親を言いくるめてAと外に飛び出した。
その時のAは濡羽色の長い髪と雪のような真っ白な肌に映える、紅、薄紅、深緋などの美しい鮮やかな牡丹の花が咲く打ち掛けを着ていて、公園まで引き摺っていたのをよく覚えている。
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？ - 両思いになるということですか？ (2022年7月24日 15時) (
レス) id: 16f178a420 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - ？さん» 明記している通りです。ワカ落ちです。 (2022年2月24日 9時) (レス) id: cd823a214f (このIDを非表示/違反報告)
？ - 若狭くん落ちですか? (2022年1月29日 22時) (レス) id: 16f178a420 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - チョコプリンさん» わぁ〜、分かります。すごく同意します!!ワカ沼は深いですよね。マイペース更新ですが頑張っていきたいと思います。 (2021年11月16日 20時) (レス) id: cd823a214f (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 最近ワカ沼が激しいのでこの小説すごい嬉しいです！これからも応援してます🥰 (2021年11月16日 17時) (レス) @page9 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年11月9日 18時
