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数日前




コンコン



「失礼します。雛罌粟社長」



「入れ…なんだ藤堂。」



藤堂、と言われる男は一礼した後
社長室の奥まで歩み寄り


「奥様からお電話が。」


と伝えると、小さく舌打ちする
あからさまな態度で繋げ。とだけ伝えると
男ははい、と返事をして
また一礼し速やかに部屋を出た



扉が閉まるのを確認すると
目の前の受話器を取る



「なんだ。美咲。
会社には連絡してくるなと言ってるだろ?」




「ごめんなさい、でも一応緊急だから…


Aがいないの」




今朝起きるとAと部屋の荷物がまるっとない
と娘の家庭教師に
伝えられ、家中探したが見つからなかった。

との事だった

男は動揺すら見せずにはぁ、と溜め息を吐く


「…そうか、まぁ放っておけ
来年までに連れ戻せばいいさ。」



大概、結婚まで時間が無いと悟ったのだろう
と続けた




「その気になればすぐ見つかる。」



そう慌てるな。と言って
受話器越しにでも、と続いた気がしたが
そのまま切ってしまった。



「さて…神楽坂君には報告しておくか、とりあえずは彼に任せよう。」




今度は自分の携帯を取り出し
耳に当てる



プルルルルル



「あぁ、もしもし。私だ
ーーーーーという事なんだ。
だか君との婚約は滞りなく行う予定だ。
君も見かけ次第協力してくれ。」





ーーー





「へぇ…Aさんが?
ふふ、わかりました。任せてください。」




では、と言って電話を切る男もまた冷静だった







「ふーん…夜逃げねぇ。
僕との結婚そんなに嫌なのかな?」





一人きりの空間で呟く



「全く困った許嫁だなぁ。
僕との結婚は絶対だから、逃げられないよ?」



ふふ、と上品な笑みを浮かべる男



「タイムリーな事に今月から会食が多いからね
ついでに少し探してみようかな。」




再び男は携帯を耳にあて誰かと通話を始めた



「あ、どうもーーーさん。
えぇ、ちょっとお手隙で頼みたいことが。
ーーーなので、見つけ次第ーーーしてください。
迎えに行くまではーーーして構いませんので。」



ではお願いします。と通話を終了した男は
今度は面白そうに笑みを浮かべ


「僕に見つけてもらえればいいね。A。」




男は外の景色を見ながら呟いた

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作者名:1/4 | 作成日時:2021年3月28日 23時

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