・ ページ48
『別に何も嫌じゃなかったって!私が今ちょっとおかしいだけ!』
「どこがおかしいんだよ」
スタスタと珍しく早足で歩くAを追う伏黒。
こっちは早足だっていうのに足の長さのせいで簡単に追い付いてくる伏黒に、Aがヤケになって振り返った。
『肺!!』
「は、肺?」
『そうだよ!!さっきから息もしにくいし、なんかずっと肺が痛いの!でもほっといてくれたらすぐ治るからほっといて!』
「ほっとける訳ねぇだろ…!!いつから痛む…?!どんなふうに痛いんだ、息がしにくいってオマエ、」
急にか──?俺がいない間に何があったら息ができなくなるんだよ…!
難病患者のような症状を訴えるAを問いただすように振り向かせれば、何故かスルリと逃げていく。
「おい!待てA、走るな!!すぐ病院に連れてってやるから」
『いらないって!!』
「いらなくねぇ!!」
『いーらーなーい!』
「A!!!」
「おい伏黒ォ!ちょっとこっち来い!!」
逃げ回るAと追いかけっこ状態の伏黒を、腕組みした野薔薇が呼び止めた。
その隙にAは逃げるように虎杖の背中に回って、それに若干イラつきながら伏黒が野薔薇の方へ向かう。
「何だ釘崎、今それどころじゃ」
「バカなのアンタ!?嫉妬に決まってんでしょ?!」
「………は?何言ってんだよ」
お互いにポカンと固まった沈黙。
向こうで虎杖の後ろにいる彼女にはギリギリ聞こえないくらいの野薔薇の声に固まった伏黒が、信じられないという顔で答えた。
「Aが嫉妬?俺に?……そんな訳ねぇだろ。オマエこそおかしいぞ」
「クソがなっっんでコイツこういうのだけ馬鹿なんだよ…!!!!おい私がおかしいみてーな顔でこっち見んな!!!」
「拗らせすぎだろ伏黒…」
『もういいから早く中華行こうよ』
虎杖の背中から顔を出したAの視線の先には、野薔薇と言い合う伏黒。
『(──あ、)』
その向こうに、
小さく揺れる可愛らしいワンピースと、メープルシロップ。
『(綺麗な髪…いいなぁ、可愛い)』
ふと、自分の長い髪を掬う。
高校に入ってから何度か染めた髪は、あの子みたいにツヤツヤじゃない。
任務ばっかりしている身体は、足も腕も、あの子みたいに綺麗じゃない。
『いいなぁ…』
いいなぁ。
✳︎
472人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま!!!お話の方もサクサク行かせてもらってます! (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とま | 作成日時:2022年9月13日 1時