16話 ページ16
フレッドとジョージ、ジニーがまさか、と振り返って一層顔を青くした。
「なんてこと……はぐれちゃったんだわ……!!なんてこと……バラバラになるなって言われたのに!!」
『ジニー……』
ジニーが血の気の引いた青い顔を両手で覆った。その手をとって、声を震えさせないようにAがニッと笑う。
『必ずハリーたちを見つけてテントに戻るからね。ジニー、必ず──』
「おい!!A!!!」
フレッドに手を掴んで引き戻される前に、ジョージに呼び止められる前に、Aは森の中に走った。
*
「みんな無事だといいけど……」
しばらく走った森の奥の木陰で、ハーマイオニーがポツリと言った。
不安げなハーマイオニーを、「大丈夫さ」とロンが慰める。
「フレッドやジョージが一緒にいるし、Aもジニーと今頃森の中にいて……あぁ、でも僕らがいないことに気づいたらA、きっと大慌てだろうな」
「そうね……それに、あの可哀想なマグルたち、下ろしてあげられなかったらどうなるのかしら……?」
「下ろしてあげるさ。きっと方法を見つけるよ」
ロンが慰める中、ハリーは黙りこくっていた。
走ってる途中に落としたのか、テントに置いてきたのか杖がないし、何よりAもいない。
Aはフレッドとジョージが一緒にいるだろうから無事だと思うけど……あくまでも彼女が二人と大人しく一緒にいてくれれば、の話だ。
ロンも言ってた通り、はぐれたと気づいたAが僕らを探して森を逆戻りするかもしれない。
心配して慌てて、不安になって今頃ひとりで走り回ってるかもしれない。
可能性は十分にある。というか、彼女はそうする気しかしない。
「……僕、Aを探してくる」
「ハリー……杖もないのにどうやって探すの?今は大人しく騒ぎが収まるのを待つべきよ。心配なのは分かるけど、Aもそこまで弱くないわ。あの子は少し慌てん坊だけど呪文がとても上手だし」
ハリーが俯いた。
分かってる。ハーマイオニーの言うことは全面的に正しいし、そうするべきだ。
ただ、事がAとなるとハリーの気持ちはそう簡単にはいかなかった。
それはジニーと一緒にAのことも妹のように思っているロンもきっと一緒だろう。
「でも、今夜のように魔法省が総動員されてる時にあんなことをするなんて、狂ってるわ……つまりね、あんなことしたらただじゃ済まないじゃない?」
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とま(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます❕気長にお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2022年7月8日 1時) (レス) id: d352a8403d (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった!!!! (2022年7月7日 19時) (レス) @page50 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます❕嬉しいです…!!頑張ります🔥 (2022年6月3日 1時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これすっごく面白いです!! 続き楽しみにしてます! (2022年6月1日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - to_mi_ta_20さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです…!!更新が本当に遅いですが、最後まで完結させるつもりなのでお付き合い頂けると嬉しいです❕ (2022年5月23日 22時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月6日 15時