2話 ページ2
怒り狂って癇癪を起こすダドリーの前に置かれたグレープフルーツ四等分。
そしてハリーの前にはもっと小さな四等分。
おばさんはダドリーのやる気を保つには、せめてハリーよりダドリーの方がたくさん食べられるようにすることだと思っているらしい。
しかしペチュニアおばさんは知らない。
ハリーの部屋の緩んだ床板の下に、食べ物が隠されていることを。
ハリーのこの一大事に立ち上がった友だちが送ってくれた食べ物と、バースデープレゼント。これのおかげでハリーはダーズリー家での食事がどんなに少なくても生き延びられていた。
「居間に来い。すぐにだ」
愚痴もこぼさずグレープフルーツを食べていたハリーを、おじさんがカンカンになって呼んだ。
何かしたかな、と考えながら居間に入ると、バーノンおじさんがドアをピシャリと閉めた。
「それで」
おじさんは今にもハリーを逮捕しそうな勢いだ。
「それで」
いや、それでなんだって言うのか。
思ったけど言うべきではないだろう。ただでさえ巻き添えの欠食状態でイライラしている。
おとなしく次の言葉を待っていると、おじさんはハリーの鼻先で紫色の紙切れをヒラヒラ振った。
「こいつが今届いた。お前に関する手紙だ」
「えっ、僕に?」
一体誰が僕宛ての手紙をおじさんに出すのだろう?
それ以前に、マグルの郵便配達を使って手紙を出すような知り合いがいたかな?
「(もしかしたら……)」
ハリーの脳内には、しばらく会っていなかったひとりの少女の姿がしっかりと浮かんでいた。
もしかしたら、マグルに興味津々な彼女がマグル式で手紙を出してくれたのかも……いやいや、それだったら僕宛てにするはずだ。
変に期待するのはやめよう。
ハリーへの手紙がそんなに憎いのか、怒りで顔を赤くしたおじさんが手紙の内容を読み上げた。
「"親愛なるダースリー様、御奥様。私どもはまだ面識がございませんが、ハリーから息子のロンのことは色々お聞き及びでございましょう──"」
そこまで聞いて、ピンときた。
ロンのお母さんだ、ウィーズリーおばさんだ。
手紙の内容は、次の月曜に開催されるクィディッチワールドカップにハリーを連れて行って、その後も家に泊まらせていいか、というものだった。
「これを見ろ」
手紙と、手紙が入っていた封筒を押し付けられて思わず吹き出しそうになった。
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とま(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます❕気長にお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2022年7月8日 1時) (レス) id: d352a8403d (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった!!!! (2022年7月7日 19時) (レス) @page50 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます❕嬉しいです…!!頑張ります🔥 (2022年6月3日 1時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これすっごく面白いです!! 続き楽しみにしてます! (2022年6月1日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - to_mi_ta_20さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです…!!更新が本当に遅いですが、最後まで完結させるつもりなのでお付き合い頂けると嬉しいです❕ (2022年5月23日 22時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月6日 15時