番外編 天使の百味ビーンズ ページ34
＊
なんだか色々あったけど、無事魔法使いとしての一年生を終えたハリーは汽車の中でハグリッドに貰った両親の写真を見ながら、一年前のことを思い出していた。
それまで、ハリーには救いというものがひとつも無かった。
歩いたり喋ったりする前から、あの恐ろしい闇の帝王から魔法界を救った英雄として名を知られ、伝説の人となったハリー。しかしそんなことは一切知らずに、むしろ虐げられながら10年という長い月日をダーズリー達と過ごした。
食べるものや着るものが満足に与えられないのなんて当たり前で、ベッドの下の靴下から蜘蛛が出てきても平気で履いていた。
学校でも、ぶかぶかの服に壊れた眼鏡をかけたハリーはただでさえ面白がられていたのに、あの手をつけられないダドリーに嫌われているということは学校でのハリー虐めに拍車をかけた。
ダドリーとその取り巻き達がお得意のハリー殴りを始めるから、ダドリーが家に沢山友達を呼ぶ夏休みは、少しでも長く家の外に居たかった。
そんな気が滅入るような毎日のとある一日に、ハリーに一つの救いが訪れたのだ。
無償の笑顔を向けられた、初めての相手。少女Aとの出会いは、それまで誰ともまともに友達にさえなったことのないハリーにとって、奇跡と呼ぶに相応しいものだった。
彼女の笑顔はまるで天使のようだった。
ハリーの中で何かが落ちる音がした。心地良い音、暖かい温度。
今思えば、その瞬間からハリーは呼吸をするように当たり前に、彼女に恋に落ちていた。
絵本の中の家族のお嬢様のようなお淑やかさを想像していたハリーからしたら、汽車で再開したAはとんでもないじゃじゃ馬お嬢様だった訳だけど。
それでもいい。可愛い。むしろコロコロ変わる表情や声色は愛おしい。
「……A」
なんて、綺麗な響き。なんて素敵な名前だろう。
そうして、二度と会うかも分からない少女に想いをめぐらせることは、ハリーの心を苦しめたが、同時に気が滅入るような毎日の生活に淡く色をつけた。
もしホグワーツ特急で彼女に再開していなくても、ハリーがその日のことを忘れることは決してなかっただろう。
幸せそうに笑う両親の写真をひと撫でして、ハリーはそのアルバムを閉じた。
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Uo(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます❕しばらくおやすみしていて、その上不定期な更新で待っていてくださる方々には本当に申し訳ない気持ちです😞少しずつでも進めて完結させたいと思っているので、これからもどうぞよろしくお願いいたします…!! (4月8日 23時) (
レス) id: 2ac4bc0020 (このIDを非表示/違反報告)
れい - めっちゃ久しぶりにコメント失礼します！前に書いたコメントが返信されてて、よっしゃー！って心の中で叫びました！このシリーズのほんとに好きなので、ゆっくりでもいいから更新して欲しいです...。ずっと、ずっと応援していますから！ (3月31日 20時) (レス) id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます❕ハリー好き意外と少ないので嬉しいです…!!ご期待に応えられるよう頑張るので、気長にお付き合い頂けると嬉しいです! (3月31日 19時) (レス) id: b8e3b5cbd8 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます❕完結までどうか気長に待ってくださると幸いです😖 (3月31日 19時) (レス) id: b8e3b5cbd8 (このIDを非表示/違反報告)
れい - 主人公ちゃんがハリーにおんぶされてる...可愛すぎだろ！ハリー大好きなので、すごいこのシリーズ大好きです！ (12月21日 14時) (レス) @page8 id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま x他1人 | 作成日時：2022年2月7日 12時
