52話 ページ4
「やめろよA、ハリーが困ってるだろ」
『え、ごめんなさい』
困ってたからちょっとだけ齧ったのか。マフィンは嫌いだったのかな、と申し訳なくなった。それなのに何も言わずに食べてくれるなんて、やっぱりハリーは優しい。
そう思いながらハリーがちょびっと齧ったマフィンにかぶりついて口いっぱいに詰め込んでいると、スネイプ先生が歩いてきた。
「健闘を祈るポッター。トロールと戦って勝った君だからクィディッチの試合くらい軽いものだろう。たとえ、相手がスリザリンでも」
一方的にそう言うと、スネイプ先生は足を引き摺りながら去っていった。
「そうか……!あの血は──」
「血って？」
ハーマイオニーがハリーに聞き返す。
「いいかい、昨日の晩トロールを中に入れたのはスネイプに違いない。騒ぎに紛れてあの犬を出し抜こうとして、それで噛まれたんだよ!だから怪我してるんだ」
『何のためにあの犬に近づくの？』
「ハグリッドはグリンゴッツの金庫から何かを出してきた。学校の用事で、中身は秘密だって」
「じゃあその何かを──」
「その犬が守ってるんだよ!スネイプはそれを狙ってる」
なるほど、とマフィンの残りを全部口に詰め込んでもぐもぐしていると、ハリーがこっちを見て固まった。
「Aきみ、さっきのマフィン、食べたの……？」
『え？うん食べちゃった。どうして？』
ハリーの顔がみるみる赤くなる。
『食べたかったのかしら』
「あなたって……」
コソッとハーマイオニーに聞いたら、呆れたようにため息をつかれてしまった。教えてよ、と言ってもハーマイオニーは自分で考えなさい言ってと新しいマフィンに手を伸ばすだけだ。
「あれ見て!」
ロンの声で上を見ると、真っ白な梟が飛んできて細長い荷物をハリーの前に落とした。
「郵便の時間には早いわ」
「これ、僕宛？僕初めてだよ!」
『開けて、開けて!!』
Aに頷いて、ハリーが荷物の紐を解いた。
「「『わあ………!!』」」
中身は、クィディッチ用の箒だ。
「そこら辺の箒とは訳が違うよ!ニンバス2000だ!!」
「でも誰が……」
ハリーが不意に先生達の席を見ると、ヘドウィグを撫でるマクゴナガルと目が合った。
『ねえハリー、あの子ハリーの梟？』
「そうだよ。ヘドウィグっていうんだ。女の子だよ」
『可愛いわ!真っ白ね』
ヘドウィグの瞳は琥珀色で、Aは碧色だけど白さで言ったら二人はそっくりだ。可愛い可愛いとヘドウィグを褒めちぎるAに、ハリーが笑う。
「君には負けるよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 396人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Uo(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます❕しばらくおやすみしていて、その上不定期な更新で待っていてくださる方々には本当に申し訳ない気持ちです😞少しずつでも進めて完結させたいと思っているので、これからもどうぞよろしくお願いいたします…!! (4月8日 23時) (
レス) id: 2ac4bc0020 (このIDを非表示/違反報告)
れい - めっちゃ久しぶりにコメント失礼します！前に書いたコメントが返信されてて、よっしゃー！って心の中で叫びました！このシリーズのほんとに好きなので、ゆっくりでもいいから更新して欲しいです...。ずっと、ずっと応援していますから！ (3月31日 20時) (レス) id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます❕ハリー好き意外と少ないので嬉しいです…!!ご期待に応えられるよう頑張るので、気長にお付き合い頂けると嬉しいです! (3月31日 19時) (レス) id: b8e3b5cbd8 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます❕完結までどうか気長に待ってくださると幸いです😖 (3月31日 19時) (レス) id: b8e3b5cbd8 (このIDを非表示/違反報告)
れい - 主人公ちゃんがハリーにおんぶされてる...可愛すぎだろ！ハリー大好きなので、すごいこのシリーズ大好きです！ (12月21日 14時) (レス) @page8 id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま x他1人 | 作成日時：2022年2月7日 12時
