愛も痛みも程々に ページ40
*
「おいA、大人しくしろ」
『め恵...ちょっ、と待って』
「待たない。Aがやるって言ったんだろ。...焦らしてんのか」
─愛も痛みも程々に─
『準備がいるじゃん!!もう、急かさないでよ』
「それ言ってもう1時間以上経ってんだよ、...そこまで言うなら別にやらなくてもいいだろ」
はたから見たらまず二度見するであろうこの状況。
自分の両耳を手で押えながら後退してついに壁に背中を合わせ、あわあわと涙を浮かべるA。
そして、Aにじりじりと迫る伏黒。
その手には、バチンと一発で人体に穴を貫通させてしまうという何とも恐ろしい兵器──基、ピアッサー。
「なんでピアスに拘るんだよ、別に穴開けなくてもアクセサリーは付けられるだろ」
『ちっちっ、イヤリングとピアスじゃ全然違うんだよ!もう、例えばー囲碁と将棋くらい違うね』
「囲碁も将棋もルール知らねぇだろ」
『ほら、イヤリングはさ、ずっと付けてたら耳が痛くなっちゃうし』
「...泣くくらい嫌なのにやるのか」
伏黒は大抵のこと、ほとんど全部のことを、Aについてなら理解しようと思っている。
例えどんな服を着たって、髪が何色になったって、どんな言葉を使っても。
そう、例えば、耳にいくつ穴が開いたってAは変わらずAだ。
彼女が彼女でいてくれる限り、この思いも変わらない。
それでも、あの真っ直ぐな瞳から涙を流すほど嫌なことを自らするということに関しては、正直理解できなかった。
ピアスを開けて欲しくない訳では無い。
例え1グラムでも君が減って欲しくない、だとか、そういう歯の浮くようなキザったらしいことを言いたい訳でも決してない。
ただ当然泣いて欲しくはないし、痛がる姿も勿論見たくないのだ。
別に開けなくてもいいだろ
結局、伏黒の思考はここに辿り着く。
耳に穴が開いていようといなかろうと、飾りを付けようと付けなかろうと、彼女の存在は伏黒の目をキラキラと刺激せんばかりに輝いている。
目の前でプルプルと小刻みに震える、まるで脱兎のようなAを見て伏黒はひとりでにそう確信した。
「A、今日の所はやめとけ。また今度だ」
『ヤダ。今日やる』
「あのなぁ、...分かった。なら俺がAが寝た後に開けといてやる。安心しろ、耳たぶ位なら血も出ねぇ」
『いやいやいや!!ヤダよ!!!一体何が分かったの?!怖いんだけどその発想!!!!』
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時