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同時刻、仙台。
学ランを脱ぎ精一杯周囲に溶け込んで潜入した高校のラグビー場の前、伏黒恵は佇んでいた。
「(なんだ、このラグビー場…)」
「...死体でも埋まってんのか?」
目の前のゴールポストには、見るに恐ろしい生き物が「おおおおお」と奇声をあげて憑いている。
こんなにもおぞましくて、こんなにも大きいのに、ほかの人間にはその存在どころか気配すら分からない。
死に際とか特別な状況にならなければ、見ることもできない。人間の負の感情が集まって生まれた呪い──それが呪霊だ。
「(…だとしてもこのレベルがうろつくなんて…恐らく2級の呪い。例の呪物の影響か…?)」
「さっさと回収しないとな…、クソ、気配がデカすぎる」
すぐ隣にあるようで、遥か遠くにあってもおかしくない。
…これのどこが"簡単お手軽な任務"なんだ?
"「仙台まで行って呪物回収してくるだけの簡単お手軽な任務だから!」"
そういつもの調子で言っていたあのムカつく担任を絶対1発殴ろうと心に決めて、ひとまず例の呪物の画像にもう一度目を通す。
「これじゃ潜入した意味がまるでねぇ──…」
ちょうどそのタイミングでピコンと軽く鳴ったスマホの画面の上から、チラリと通知が下りてくる。
「"ずんだ餅"…」
何も見なかったことにしてスマホをポケットにしまい気を取り直して歩き出す。
「(気が進まないが一度学校を閉鎖、呪いを祓った後隅々まで探すしか──。そもそも学校内にあるよな?…持ち出したなんてことになると──)」
「…あー、クソ、」
誰にとも分からない愚痴を吐き出して、人が集まって騒がしい運動場の方へまた歩き出した。
聞き込みをする気はさらさらないが、人がたくさんいる方が呪いが寄ってるかもしれない。
目の前の生徒たちが取り囲んでいるのは、男子生徒と教員。
「(…なんだ?砲丸投げか?)」
人混みの中から一瞬聞こえて来た「ついたあだ名は"西中の虎"──」という言葉に内心「(ダッセ)」と思いながらも、虎とやらの威力はどんなものかとチラリと覗く。
…無視したせいでさっきから頭をチラつく彼女のラインに、返事をしてから。
*
「恵から返事きた?」
『うん。「"ん"」だって』
「んんっ淡白!!!!」
『動くキモいスタンプ送ってやろうかな』
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歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (2023年5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時