【ハリーポッター】魔女が紡ぐ (ページ39)

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37話ページ39

「ロナルド・ウィーズリー」

ロンの顔が不安と緊張で強張る。

『大丈夫。フレッドとジョージとパーシーが待ってるわ。頑張って!』

Aに背中を押されて、飛び出すようにロンが前に出た。

振り返ってAに小さくうなずくと、意を決して椅子に座る。帽子はロンの頭に乗るとすぐにしわしわな口を開いた。

「グリフィンドーーール!!」

安心して顔を綻ばせたロンを見て、Aもホッと息をついた。

「ハリー・ポッター」

その名前に騒めく雰囲気の中、ハリーが椅子に座った。

英雄ハリー・ポッターがどの寮に組み分けられるのか、同級生も、各寮のテーブルについている先輩達も、教員までもが固唾を飲んでその成り行きを見守っている。

ハリーの組み分けは長かった。

グリフィンドールに組み分けされたロンとハーマイオニー、そしてまだ組み分けられていないAの目線に、ハリーは目を瞑って脳内で唱えた。

スリザリンはダメ。スリザリンはダメ──。

遂に、帽子が口を開いた。

「グリフィンドーーーール!!!」

わあっ!とグリフィンドールの席が湧いた。

ポッターをとった!ポッターをとった!という声は、フレッドとジョージだろう。

「あとは、Aだ」

ロンが自分が帽子を被る前の時のような不安そうな顔をしたのを見て、前のハーマイオニーが片眉を上げて言った。

「あら、Aはグリフィンドールよ。優しくて勇敢な子だもの」

「カエルで倒れちゃうのに？それにAは優しいからハッフルパフに行くかもしれないし、賢いから、レイブンクローになるかもしれないよ……君は今日会ったばかりじゃないか」

ハリーも不安になって椅子の方を見ると、横から双子の軽快な声が聞こえた。

「心配するなよ。ロニー」

「Aはグリフィンドールさ」

「……どうして言いきれるんだよ？」

「「そりゃ俺たちの妹だからさ!俺たち兄弟はみんなグリフィンドールって決まってる」」

「血が繋がってないよ」

「「関係ないね」」

「お前達、うるさくするな。ロンも、Aの組み分けが始まるぞ」

今年監督生になったパーシーに言いくるめられて、渋々ロンが椅子の方に目をやると、それに気づいたAが手を振っている。

こっちは気が気じゃないっていうのに呑気だな、とロンが恨めしげに頬杖をついた。

「A・シャフィック」

残り少ない生徒の中から、Aが出てくる。

真っ黒なローブに包まれて彼女の白さが際立っている。その姿に、その場にいる全員が思わず息を呑んだ。