34話 ページ36
『ねえ、私、二人と同じ寮に入れるかしら』
密かに感じていた悩みを打ち明けると、フレッドとジョージは一瞬驚いて、軽快に笑った。
「心配するなよ」
「Aはグリフィンドールに決まってる」
「「それにどこの寮になったって、毎日悪戯しに行くさ!」」
今日も息ぴったりの二人に笑うと、フレッドとジョージも満足そうに笑った。
「「じゃあ、またホグワーツで!」」
＊
背の高い二人の赤毛が更衣室を背に歩いている。
赤毛、双子、高身長。そして何より、大人が引く程の悪戯好き。これが彼らの最大の特徴だ。
この瓜二つの双子を見分けることは、彼らの家族にとっても一苦労の問題である。しかし、この二択を絶対に間違えない少女がいる。
それが、A・シャフィックだ。
幼い頃からよく屋敷を抜け出していたAは、抜け出した先でこの双子と出会い、その頃から凄まじかった彼らのユーモアに惹かれて、そのままあれよあれよとウィーズリー家と仲良くなった。
「おい相棒、だらしない顔してるぜ全く。Aは妹みたいじゃなかったのか？」
「……分かってる。だけどさ、俺たちの妹があんなに綺麗になってるって知ってたかよ？」
今日汽車に一緒に行く約束、破っちまったのどう思ったかな、と呟く自分の片割れをジョージは呆れた顔で見た。
「なんでもいいけど、リーの居るコンパートメントに戻るまでに、そのふやけただらしない顔をどうにかした方がいいぜ」
「そんなに言うか？おんなじ顔してると思うけどな。なんせ、俺と相棒を百発百中で当てられるのはAだけだ」
「ああ相棒、そういう所もいいって言うんだろ？」
「ああ相棒、そういうもんさ」
Aは可愛い。ちょっとお調子者な所も、やましいことがある時に左側の髪をくるくるいじる癖も、タランチュラ見たがっちゃう所とかとにかく全部。
他の人がそうでも何とも思わないけど、Aだからいい。可愛い。
可愛いを具現化したら、きっとああなるんだ。とりあえず全部、フレッドには可愛く見えた。
「ハリーと仲良さげだったな」
「おいおい、落ち込ませようとしてるのか？俺はAとどうにかなろうだなんて、思ってないぜ」
全く心外だ!という顔をする自分とそっくりな片割れを、ジョージは密かに応援した。
「にしても、相棒がそんな奥手だとはな」
「紳士と言ってくれよ」
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 943人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
