25話 ページ27
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「すみません、9と3/4番線にはどう行ったらいいんですか？」
「9と3/4番線？からかってんのか？」
ハリーは非常に困っていた。
あの後、これに乗ればホグワーツに行けると言われて渡された切符には、しっかりと9と3/4と書かれていたのだ。
一応駅員の人に聞いてみたけど、からかってると思われてしまって全く相手にされなかった。
当然だ。9と3/4番線なんて、聞いたこともないしどこにあるのかさっぱり分からない。
ハグリッドにからかわれた？いや、そんな訳はないと信じたい。
「毎年毎年マグルだらけね、ここは」
"マグル"という魔法使いの言葉に反応して、ハリーは咄嗟に自分と同じく大きなカートを引く赤毛の家族の背中を追いかけた。
「ほらパーシー、先に行って」
子供たちの母だと思われる女性がそう言うと、男の人が壁に向かって歩く。
そして、飲み込まれるようにして消えた。
ハリーが驚いている間に、また二人呼ばれる。顔も身長もそっくりな二人だ。きっと双子に違いない。
「フレッド、次行って」
「違うよ、フレッドは僕」
「わかんないの？それでも僕らのママ？」
「あら、ごめんね、ジョージちゃん」
やれやれと全く同じ呆れ顔をしていた二人が、今度はしてやったりの笑顔に変わる。
「──冗談だよ!僕がフレッド!」
そっくりな男の子の一人が勢いよく走って行って、もう一人もそれに続いて飲み込まれていった。
やっぱり見間違いじゃない。この家族は9と3/4番線への行き方を知っているのだ。
ハリーはこの機会を逃すまいと、救世主の赤毛の家族の母に尋ねた。
「すみません!あの、どうやったら、あそこに……」
「9と3/4番線？」
兄弟の母はふふっと笑い、優しく聞く。左右にクルンと巻かれた髪が特徴的だ。
「心配無いわよ。うちのロンも今年からホグワーツに入るの。行き方はね、9番線と10番線の壁に向かって歩いて行くの」
恐かったら小走りで行きなさい、と背中を押される。
おそらく妹の、赤毛の女の子の応援を聞きながら、ハリーは9番線と10番線の間の柱に狙いを定め走った。
ぶつかる!と壁直前で反射的に目を瞑ったが、覚悟していた痛みがこないことで、ぎゅっと瞑っていた目を恐る恐る開けた。
【ホグワーツ特急】
そこには、黒く光る汽車が停まっていた。
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作者名：とま | 作成日時：2022年1月31日 23時
