【ハリーポッター】魔女が紡ぐ (ページ21)

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19話ページ21

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窓の外には、雲ひとつない素晴らしい青空が広がっているというのに。

私は一人分にしては広すぎる部屋の机に張り付いて、難しい言葉が連なった分厚い洋書と向き合っている。

ああ、昨日は楽しかったなあ……。

先日起こった珍しい体験に、うっとりと頬杖をついた。

『……ねえ、電気ってね、すごいのよ』

返事がない。あれ、いないの？とちょっと不安になった。

誰もいないのに話しかけたなんて、恥ずかしいじゃない。

『ねえ？すごいのよ、ウィロー？』

振り返りながらもう一度言うと、屋敷しもべ妖精のウィローと目が合う。

なんだ、やっぱりいるじゃない。

『一回目、無視したわね』

「……昨日はマグル界にいらっしゃってたんですね。勝手に」

"勝手に"が強調されている。

まずい、と直感的に思った。思ったのだからすぐ謝ればいいものを、私の口は謝罪とは程遠い事を言っていた。

『呼ばれたんだもん』

「誰にです？」

『そんな気がしたの』

「だから、誰に呼ばれたのです」

容赦なく詰めてくるウィローから目を逸らす。完全に劣勢。私が悪いんだから当たり前だけど。

誰に呼ばれたかなんて、そんなのわからない。

でも呼ばれた気がしたのは本当で、これは決して私がずっと前からマグル界に行きたがっていたことの言い訳なんかじゃない。

「"電気"はマグル、非魔法族が魔法の代わりに扱うものです。えぇ、昨日ご覧になったのでしょうね。屋敷を抜け出さぬようにと私があれ程口を酸っぱくして申し上げていたにも関わらず、貴方は勝手にマグル界に行った」

恐ろしい顔で捲し立てるウィローに、ぐう、という音が多分ギリギリ出たと思う。

ウィローは両親を早くに亡くした私にとって本当に家族みたいな存在で、私のことを大切にも思ってくれていると思うけど、こういうことに関してとてもとても厳しい。

"「今培った知識が、いずれ貴方を助けるのです」"

これがウィローの口癖だ。

規則正しい生活に、毎日同じ時間に勉強。でもこんなだだっ広い屋敷に少女と小さな妖精二人きりなんて、あまりにもつまらないじゃないか？

飛び出してみたいのだ。こんな生活にはもう飽き飽きしてしまった。

私はもっともっと大きな場所に──。

『勝手なことしてごめんなさい……でもそんなに心配される程、私もうお子様じゃないのよ？』

「話を逸らすのは貴女の悪い癖だ」

『……』

ああ、だめだ。今度こそぐうの音も出ない。