さん ページ3
段々と意識が浮かび上がってくる中、突然じわじわと痛みが走った。
痛みの場所はどこか分からない。痛みの不快感に我慢ならず、ゆっくりと目を開いた。
目の前には見慣れない天井から吹き抜けた木の骨組みが見える。
何ここ……天国?そっか、私死んじゃったんだっけ……
寝ている体を起こそうとすると、背中に激痛が走った。
「っ……!!?」
ズキズキと激しい痛みを伴いながらも歯を食いしばり、気合いで体を起こす。
起こした後も汗と息切れが止まらなかった。
ある程度落ち着き、辺りを見渡す。
時代劇のセットみたいな家の中に、自分はエキストラが着用していそうな着物を着ている。
(天国って……こんな場所なんだ、)
そして突然、ガラガラと扉を開く音がした。
音がした方を見ると、二人の年老いた男女が古びた着物を着てそこに立っていた。
あっと気づくと、女性の方から口を開く。
「あ、あぁ目が覚めたのね。良かった」
と微笑みながら近づいてくる女性。男性も女性の後をついて行き、私の方へ歩み寄る。
「お医者様の言う通りね。もう熱は引いたかしら?」
そして私の床のそばに二人は座った。
「私はお鶴と言うの。お嬢さんのお名前は?」
「えっと……」
急に話しかけられポカーンとしていると
「まぁ、怪我のせいでいろいろ混乱しているんじゃろう……お嬢さんの名前は、確か……ミサじゃったかな?」
「え?ど、どうして私の名前を……」
自分の名前を当てられて、驚いていると
女性の隣に座っている男性が髭を触りながら、私の方へ指を指した。
「それじゃよ、その首飾りじゃ」
(首飾り?そんなもの付けて無かったような……)
そんなふうに思いながら視線を下に移すと、
麻の紐で結ばれた木の首飾りがあった。
ペンダントのような木の首飾りを手に持ってみると、裏に“ミサ”と子供が掘ったようなつたない字で掘られていた。
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作者名:あいす | 作成日時:2023年11月20日 22時