第二十話 団体任務 巫兎視点 ページ23
夕日が差し込む中、ひっそりした山道を私たちはぞろぞろ歩いていた。
鎹鴉からの指令は、十人の隊員で
という内容の任務だった。いわゆる団体任務である。
集合場所に行ってみるとほとんどの人が集まっていた。
「なんだ、女かよ」
「弱そ……」
「でも、顔はいいよな? 」
私が来た途端、誰も挨拶はせずにヒソヒソと話し始めた。
はぁ、女で悪かったわね。
そして、どこ見てるのよ?
私が他の隊員と一歩離れたところに立っていると、最後の一人がやってきた。
きっと念入りに手入れをしているからだろう、その少年の髪はサラサラと綺麗に揺れていた。
「遅くなってすみませーん! 」
「なんだ、村田かぁ」
「期待出来ないな」
「おい、それってどうゆう意味だよ! 」
どうやら彼は周りから好かれてるのね。
……いじられてると言った方がいいのかしら?
私が彼らの様子をじっと見ていると、一人の少年がパンと手を叩いた。
「よし、全員揃ったな。
今回この任務の責任者を務める黒沢だ。
階級は
さぁ、もうすぐ日が暮れてしまう。
目的地に向かいながら自己紹介をしよう。
少しでも親睦を深めといた方が討伐しやすいからな。
みんな、それで良いかい? 」
誰も彼を止めようとしなかったので、自己紹介をしながら目的地を目指すことになった。
遠足じゃないんだから、緊張感のかけらも無い。
十人で、ということはそれなり強い鬼が出るんでしょ?
馬鹿馬鹿しい。仲良くなっても死んだら意味ないじゃない。
私が心の中で悪態をついていると、自分の番がやってきたのか、
周囲の視線が一気に集まった。
はぁ、面倒臭い……。
「
先日入隊したばかりで、階級は
宜しくお願いします」
誰の興味もそそらなかったのだろう。
すぐに私から視線を離し、各々の会話に戻っていった。
しかし、村田と呼ばれていた少年だけが話しかけてきた。
「志那戸辨さん、だっけ?
俺は村田、宜しくね」
「……宜しくお願い致します」
「あっ、ごめん。
不愉快だった? 」
「いえ、私に話しかけてくるなんて珍しいなと思ったので」
「ははは、そういうことか。
ちなみに何の呼吸を使うんだい?
俺は水」
「風です」
「皆、着いたぞ! 」
黒沢に言われて前を見ると、静かすぎるとても不気味な山があった。
空気は冷たく重く、私はとても寒気がした。
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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