検索窓
今日:24 hit、昨日:19 hit、合計:25,796 hit

第十三話 飢えた獣 NOside ページ16

巫兎がこの村にくる少し前のこと。
ある日突然、村人が一人消えた。
その村人はよく近所の者と対立していたので、
臍を曲げただけだから一日立てば帰ってくるだろうと誰も探さなかった。
しかし次の日になっても帰ってこず、心配した一人が近くまで探しに行ったところ、
死体となって発見された。
その様子は見るに堪えないほど酷く、もはや人とは見えないほどぐちゃぐちゃに噛み砕かれていた。
獣に喰われたにしては一つ一つの傷口は小さく、爪による傷も多くあった。
村人たちは誰による仕業かわからず、どうすれば良いのかもわからなかった。
その結果、前以上に村は閉鎖的になり、常に自分ではない誰かを警戒し、疑い始めた。
しかし、毎晩毎晩村人は少しずつ消え、次の日には無惨な死体となって発見されるようになった。











「や、やめてくれぇ!」
「ゔゔゔっあぁぁぁ! 」
「がぁぁぁぁーーーーー…………」
「はぁ、はぁ」
 
 寒い……。
 
 寒い……。

 寒い……!

「い、いやぁぁぁぁ〜!」
「ゔゔゔ……
 ゔゔっあぁぁぁ! 」
「きゃぁぁぁぁーーーーー…………」
「はぁ、はぁ」
 
 はぁ、はぁ……。

 寒い……。
 
 寒い……。

 寒い……!

 「は、離してよ!
  ねぇ、離してよってばぁ!! 」

 寒い、寒くて死にそうだ……。
 
 だから、温かいものが欲しい……。

「ゔゔっ、グァァゥ! 」
「ーー……っ」

「ふぅ、ふぅ……。
 寒く、なくなった?
 あったかい、あったかい!
 もっと、もっと!!
 血を! 肉を! もっと!!!
 もっと俺にくれぇぇ! もっと喰いたいぃぃ!! 」

 獣のおびただしい呻き声は、空高く消えていった。









*大正コソコソ噂話*
巫兎は選別の時、気配でどれくらい人を喰ったか確認していましたが、
それができたのは選別を受ける前、鬼殺隊の任務に同行していたからです。
巫兎の師匠が自分の弟子にお願いして同行させてもらっていたそうです。
ちなみに、お館様の了解を得てやっていました。

第十四話 紅のオオカミ・前編 巫兎視点→←第十二話 初任務 巫兎視点



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:庵原史穂 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。