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長い夢を見ていた気がする。
目を開ければ絶望的な状況は何ひとつ変わってなくて、ジンは相変わらず私に銃口を向けていた。
(あれは私の記憶か。)
まだ前世を思い出していない頃。
さらに言えばメルロー時代の私の思い出だ。
あのときの私はバーボンのことを何ひとつ分かっていなかった。
何故あんなにも疲労していたのか。
恐らくは本来の仕事と組織の仕事、どちらもこなさなければならない多忙の身だったから。
それに加え、組織の仕事は彼の正義が許せるような行いではなかったために、様々な葛藤や苦悩があったことだろう。
だからこそ精神的な疲労の度合いも半端なものではなかったはずだ。
何故好きでもない組織に所属していたのか。
他でもない正義の徒として、組織の内情を探るためだ。
精神をすり減らし自分の意に反する悪事に手を染めてなお、彼は最終的な日本の平和のために自らを犠牲にし続けた。
何故、私なんかを気にかけてくれていたのか。
……それは。
(たぶん、間違えてないと思うんだけど。)
口にするのが恥ずかしい。
だってその答えは、
都合の良いように考えていたらどうしようか。
全く見当違いの答えだったらどうしようか。
けど、まあ……
その場合は、またいつものように脳内馬鹿騒ぎして、羞恥に転げ回れば良いだけだ。
思わずフッとこぼれた笑みに、ジンの銃口が揺らぐ。
キャンティの高笑いが止まる。
ウォッカの口が閉じる。
ベルモットの視線が刺さる。
…………バーボンが私を気にかけてくれた理由、それは。
彼が、私を愛しく思ってくれたから。
本当に、恨むぞ
せっかく死への覚悟を固めていたのに。
体の震えを抑え、せめて潔く散ろうと決意していたのに。
今になって死にたくなくなった。
だって私、安室さん推しの人間ぞ？
ならば推しの
惨めだろうが無様だろうが何だって良い、何としても生き残ってやる。
今まで散々苦労かけてごめんな安室さん！
そのお詫びと言っては何だが、この
闘志を燃やし始めた私の瞳。
その視界に突如–––––––––七色に光るゴミ箱が吹っ飛んできた。
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作者名：しま | 作成日時：2018年5月8日 23時
