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エレベーターから出た途端にベルモット(素顔)とコンニチハした私は、さてすっとぼけるか腹をくくるかと一瞬だけ迷った。
しかしベルモットは妖艶な笑みを浮かべつつその手元には拳銃をチラつかせている。
ハイ腹をくくります。今までありがとうございました。
あーーーもうちょっとだったのに!あと三十分だったのに!
絶対お見合いに来たのが裏目に出てるよパパァーーー
おそらく今も私の位置情報を監視している父は、すぐにでも私に不測の事態があったことを悟るだろう。悟ってほしい。悟れ。
……相手様に連れ回されてるだけって判断されたらマジで人生終了だな……
「……ベルモットだけ?この場で殺さないの?」
「こんな煌びやかな場所で殺るわけないじゃない。あなたには暗くて寒々とした路地裏がお似合いよ。」
私はなすすべもなくベルモットの後をついていくしかなかった。
安室さんはどうしたんだろうか…
死ぬなら死ぬで最後に安室さんに会いたい…
頭なでなでよしよしされたかったよぅ…
…うん、白状しよう。
こんなことを考えてでもいないと、早々に精神崩壊してしまいそうだったのだ。
だからこそ手足の震えを抑え、あまり深刻に考えないようにしていた。
殊勝な態度の私を見てどう思ったのか、ベルモットは私の少し前を歩きながら薄く笑う。
「随分大人しいのね。覚悟は決まった?」
「そうだね、もう打つ手が思いつかない。」
「フフ…この一年で少しは性格が矯正されたみたいね。それとも、そっちが素なの?」
「さあ、今さら関係ないよ。」
「そうでもないわ。ジンも気にするでしょうから。」
え?いやまさか今からジンに会うとか言わないよね?
「みんなあなたに会いたがっていたわよ。たっぷり可愛がられると思うから…精々頑張りなさい?」
み ん な と は 。
ヒェーー冗談じゃねえぞ!
恐れをなした私は、それを言われた瞬間脱兎のごとく逃げ出した。
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作者名:しま | 作成日時:2018年5月8日 23時