爆裂ワガママお嬢様がすべてを思い出したら (ページ43)

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どうしてこうなった？

何だか私にメロメロな様子のお相手様に首を傾げながら、私は彼とともにエレベーターに乗り込んだ。

双方の親は、目がハートになっているお相手様の様子を見るや否や「あとは若いお二人で」と常套句を告げ、その場を立ち去った。

この後父は帰宅する予定のはずだ。

羨ましい待って。私も帰りたい。

しかし私の手を取るお相手様がそれを許すはずもなく、頬を赤く染めながら微笑み「ではバーにでも行きましょうか…」と囁く。

ひい…お前マゾかよ…

それとも私の言葉を裏とか読まずにそのまま受け取った…？

私の煽りスキルなんぞまだまだポンコツってことじゃんかウワアン誰か助けてえ……

・

バーは最上階にある。

もはや顔が死んでる私は相手様にエスコートされ、シャレオツなバーに足を踏み入れた。

「おじさん、依頼人にドタキャンされたんだったらもう帰ろうよ！」

「うるせえ！俺はシットリ大人の雰囲気漂うこのバーで飲んで帰るんだよ、オメーだけで戻ってろ！」

うわあ。

聞き覚えのある声が二つも。

私は流石に驚かなくなった。

そして悟った。ここは何らかの事件の舞台になるのだと。

私の視線の先にはカウンター席に座って動こうとしない小五郎さんと、彼のスーツの裾を引っ張るコナンくんの姿があった。

バーには他にもちらほらと客がいる。

比率としては男女客が多い中で、子供とおじさんのコンビは随分浮いて見えた。

しかし、コナンくんが呆れの感情も滲ませることなく必死に小五郎さんに取り付いているのに、多少の違和感を抱いた。

そして、その違和感は絶対に、私に何かしらの警告をしていたのだが。

色々と疲れ切っていた私は油断して……その違和感を流してしまった。

「毛利先生、連絡もなしでは蘭さんも心配するのでは？」

あ、推しの声が聞こえる…

疲弊した頭でぼんやりと認識し、ちらりと確認する。

先ほどは小五郎さんの影になって見えなかったが、奥の方に安室さんもいた。

そして–––––––さらにもう一人。

「いやあ、このボウズが騒がしくしてすみませんね。

千佳子さん。」

安室さんの隣に座る女性の存在に、遅れて気づく。

えっ

私やん(・・・)。

安室さんの隣には、佐藤千佳子にしか見えない女性が座っていた。

そのことに心底驚いた私は、限界まで目を見開く。

その目が、佐藤千佳子(？)とバッチリ合った。