2年前のあの日4 ページ7
資料を集める私の横で、悟が私の髪を梳きはじめる。
どうやらもう仕事に飽きたご様子。
長い指にするすると髪の毛を絡ませ、弄ぶ。
「さーとーるー、見てるのー？資料？」
口を尖らせて言ってみるが、効果なし。
「いい感じに調べてくれてるよー。さすがAだねぇ、頼んでよかった！」
そんな気のない感じで、言われても。
「ねぇ、Aこれでデート行くの？くしゃくしゃだよ？」
指摘されれば、確かにそうかも。
仕事に集中するあまり、髪の毛をがしがしかいてた気がする。
頭をわしゃわしゃと撫で、更にくしゃくしゃにしようとする悟の手をぺんと叩く。
「もーうるさいな。てかさ、私が彼氏できたこととか今日のデートのことまで何で知ってんの？誰から聞いたのよ？」
「何でもお見通しだよー。僕相手に隠し事ができると思った？なんたって僕は·····」
「はいはい、最強だから、でしょ。でも、最強と私のプライバシー漏れてるの、また別の問題だと思う。」
たまにこういうことがある。悟には話してないのに、私の事をどこからか聞いている。
彼のこと、硝子には報告してたけど、デートまでは言ってなかった·····。
うーむ。
でも、念の為あとで硝子を問い詰めておこう。
「そんな時はヘアスタイリスト悟くんに任せなさい。特別なデートにぴったりの髪型にしてあげる。」
思わず顔をしかめる。
そんな調子の良いこと言う時は、大体私をからかう時だ。
「いらなーい、どうせ変な風にするんでしょ？」
「まぁまぁ、僕を信じてよ。」
仕事面においては、信用できる部分はある。でもこういう時の悟は信用ならない。
うんこ！とか言って髪をぐるぐるにされようもんなら、もうキレるかもしれない。
悟は私の小さな抵抗なんか微塵も気にせず、髪をセットし始める。
小さくため息をついた。
引っ張ったり、結んだり、梳いたり。
全然痛くないのは、気を使ってくれてるんだろうな。
今日は、年に１回の特別な日だ。
歳をまたひとつ、重ねる日。
出来れば悟と2人で過ごしてみたいな、なんて昔はよく思ってたけど。
大体皆で騒いでた。
傑や硝子とケーキをくれたこともあった。
謎に気持ち悪い玩具でからかわれることもあった。
今日だって、このあと予定があるの知ってる癖に雑用みたいな仕事ふってくる。
悟とロマンチックとか、そういうムードなんて、やっぱ無理か。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます！自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…！嬉しすぎます。ありがとうございます！また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (
レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です！！完結おめでとうございます！新作が出たら1番に応援しに行きますね！素敵な作品を有難う御座います！！ (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃっと | 作成日時：2020年12月5日 14時
