1年前のあの日11 ページ31
「わたし、悟のことが好き」
彼が驚いたような顔をするが、それを見ないようにしながら、続ける。
「特別強くて、そんな才能も利用して、更に強くなっていくとこも。いつでも自信満々なとこも。しょーもない事でからかってくるとこも。綺麗な瞳も好き。」
「でも」
息を吸う。驚いて軽く口を開けてる悟を、睨んだ。
「あぁやって、躊躇なく女の子達を切り捨てるみたいに、人を大事にできないところは、大嫌い」
「·····は?」
悟の顔がみるみる歪む。
「何、お前、説教してんの?俺に?」
睨む目付きは、迫力がある。
でもどうしても負けたくなくて、私も睨み返す。
「説教じゃないよ、悟がどう振舞おうと私が何か言う立場じゃないし」
一旦、息を吐いてから、続けた。
「でも、あぁやって女の子傷つける行動は、私は大嫌いなの」
「そんな事言って、嫉妬だろ?」
笑う悟にイラつく。それは確かにその通りだ。
でも。
「でも、悟があんな風に女の子を扱うのはイヤ。もう少し大事にしてあげなよ」
睨む目付きが、一層鋭くなった。
「余計なお世話。俺だって選ぶ権利があんだよ。お前みたいな事言う女は鬱陶しいし、選ばない」
あぁ。やっぱり。
こうやって切り捨てられる。あの子と同じ結末だ。
分かりすぎてただけに、辛さより馬鹿な自分に笑いが込み上げてくる。
「まぁ、そうだね」
悟、すごい怖い顔をしている。
思わず笑みがこぼれた。
「笑うとこじゃねぇだろ」
「ごめんね、怒んないで。勝手に気持ち、押し付けちゃった。本当ごめん。」
ブランコを降りてすくっと立つ。
彼を見下ろした。
「私、今の怖い顔した悟、好き。さっきの女の子泣かしたどうでも良さそうな顔より、いいよ」
微笑んで言えば、彼がまたポカンとした顔をした。
「じゃあね、また明日ー」
そうやって、手をふって別れた。
コンビニの袋をぷらぷら振りながら歩いた。
気付いたら、涙が溢れていた。
やってしまった。
腹が立って、つい言ってしまった。
本当に悟の言う通りだ。
私が彼の振る舞いに口を挟む権利なんて何も無い。
軽く女の子達と遊ぶ悟に安堵する。
大丈夫、あの子達には本気じゃないと。
でも、自分だって本気で大事にして貰うことは無いのだろうという現実にも直面させられる。
「好きとか言うつもりなかったのに」
余りにもあっさりと、躊躇いなく、お前は選ばない、鬱陶しい、と言われた。
涙がまた溢れてきて、鼻をすすりながら天を仰いだ。
そんな事があった。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます!自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…!嬉しすぎます。ありがとうございます!また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です!!完結おめでとうございます!新作が出たら1番に応援しに行きますね!素敵な作品を有難う御座います!! (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっと | 作成日時:2020年12月5日 14時