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1年前のあの日10 ページ30

「なつかしいなぁ〜」

悟の背中の温かさを感じる。
本当飲みすぎた。
今だって、思いつくままに話してる。
まぁ、いっか。たまには。

落ちないように悟の背中にしがみつきながら、思い出していた。

高専の時、同級生の中でも普通な私は、劣等感の塊だった。
自分なりに努力はしたが、才能や能力に勝てない事はある。

悟との関係だってそう。
彼の特別になりたかった。
誰よりもそばに居たし、他の子よりも分があった筈。

なのに、無理だった。

それは授業の終わりに寄ったコンビニの帰り道。
公園にいる悟と女の子を見かけた。

女の子は、うつむいて、肩が震えている。
泣いてるようだ。

それに比べて悟の態度は、デカい。
頭で両腕を組みながら、面倒くさそうな顔で彼女を見下ろし、何かを言った。

その瞬間、彼女の肩が大きく震えた。
悟をまじまじと見つめた大きな可愛い瞳からは涙が溢れ、そのまま走り去っていく。

悟は追いかけもせず、溜息をつき、舌を出し、近くのブランコにどかっと座った。

胸の中がざわざわとする。

二人がどんな関係だったかは、何となく分かる。

でも、辛さや苛立ちの他に、胸の奥が芯から冷えていくような感覚もした。


あの子は私だ、未来の私。

例えば悟が私の気持ちを受け入れてくれたとして、きっと私も彼女と同じ末路を辿る。そう直感した。


立ちすくんでいた私に、悟が気付いたようだった。
軽く手をあげる。

本当はこのまま逃げ出してしまいたかったけど、見つかったなら仕方ない。

側まで歩いていき、隣のブランコに座った。

「めんどくせぇな」

「何が?」

平然とした顔を作ろうと努力する私に対し、悟はいつもの飄々とした顔を崩さない。

「何であぁなるかな、女って。自分のモノにしたがるんだ」

「皆そんなもんじゃないの。程度はあるだろうけど」

無性に苛立ち、悲しくなった。
そんな女の子の立場になりたい、けどなりたくない。
必死で感情を抑える。

「Aもあぁなる訳?」

彼がうぇっと舌を出し、首をふってみせた。


その仕草と言動に、心をさっくり刺された。
何とか表情には出すまいと努力するが、どんどん胸が冷えていく。

あぁやってフッても、悟には次から次へと女の子が寄ってくるんだろう。そして、彼は使い捨てていく。

何か一言、言ってやりたくなった。

「ねぇ、悟」

「なに?」

どこか挑発的にこちらを見ながら、気だるそうにブランコを揺らす悟に、私の心は余計冷えていく。

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設定タグ:夢小説 , 呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます!自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…!嬉しすぎます。ありがとうございます!また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です!!完結おめでとうございます!新作が出たら1番に応援しに行きますね!素敵な作品を有難う御座います!! (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃっと | 作成日時:2020年12月5日 14時

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