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前日6 ページ18

ケーキを食べ終えた私達は、まったりモードに突入していた。

相変わらず悟は何も言わず、スマホをつついたりTVを見たり。

「悟。まだ帰らない?飲み物入れようか?」

探りを入れるのも兼ねて、さり気なく声をかけてみると「いるー」との返事。


時刻は既に23時をまわっている。

大事な用、の真相も謎のまま。



酔いが覚めてしまったので、自分には軽いおつまみとお酒を用意した。

悟には·····何にしよう。
下戸だから一緒に飲めないのがいつも残念なんだけど。

結局、前に飲んだっきり閉まっていたココアを入れてあげることにした。

ただでさえ甘いココアに生クリームを入れた、悟専用の特製ブレンド。


言動や行動はイキってる割に、舌はお子ちゃまだ。



彼の前にココアを置くと、案の定、蒼い瞳はきらきら輝いた。

「好きなんだよねぇ、Aのココア」


無邪気な悟に笑いながら、私も再度飲み直し始めた。

なんと言ったって、明日はお休み。

休みに入る前の晩が、一番至福の時だと思う。




「A、よく飲むなぁ」

彼が私の右隣にさり気なく寄ってきて、私の飲んでるグラスを持ち上げる。
グラスの中のお酒がゆらゆら揺れた。


肩と肩が触れるか、触れないか、の距離。

グラスの中で揺れる水面を、蒼の瞳が見つめる。


「悟こそ、よくそんな甘いの飲むよねぇ」

平静を装い、笑ってみせれば、彼も穏やかに笑う。


そう言えば、彼はいつからこんな穏やかに私に笑いかけるようになったんだろう。


高専の時は、不遜で、まさに唯我独尊を体現するようなヤツだった。


悟には、産まれた時から特別というレッテルが貼られてた。
圧倒的な立ち位置で、周囲と相容れない存在。

非凡だからこそ、平凡で弱い私は格好のからかい対象で、良い玩具だったんだと思う。


でも、近くで悟を見て、ずっと思っていた。

特別と言われながら、周りから切り離される存在。

それって、孤独じゃないのか。

私は傑や硝子みたいにすごくないから、悟と肩を並べられない。

それでも、同級生らしく。
天才とか最強とか、そんなんじゃなく。

ただの五条悟として。
対等に接したいと思った。

ガキ扱いでからかわれるのはめちゃくちゃ腹が立ったけど、めげない。

弱い、平凡な、私なりのプライドだった。

キレる私に、よく馬鹿笑いして。
見下したように笑ってたのに。



いつの間にか、こんな穏やかに笑えるくらい、彼は大人になったのか。

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設定タグ:夢小説 , 呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます!自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…!嬉しすぎます。ありがとうございます!また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です!!完結おめでとうございます!新作が出たら1番に応援しに行きますね!素敵な作品を有難う御座います!! (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃっと | 作成日時:2020年12月5日 14時

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