2年前のあの日 別目線編5 ページ16
その癖、俺が失礼なことをした時や人の気持ちを踏みにじった時は、真っ向からキレてきた。
俺より弱い癖に、俺を全く特別視しない、不思議なヤツ。
権力を笠に着た不遜な態度をとると、あいつは眉をひそめる。
女を取っかえ引っ変えしてると、軽蔑の目で見る。
俺のタチの悪い冗談に怒りながらも、最後には笑う。
俺が何か手落ちしていた時には、知らないところでさり気なくフォローしてくれている。
仕事が上手くいった時、Aが俺の代わりに喜ぶ。
俺が無茶すると、泣きそうな顔で心配する。
くそ真面目な学級委員かよ、と最初はたまらなくウザかった。
でも、いつからかAの隣にいると自然と心地よさを感じてる自分がいた。
その関係が壊れるのが怖かった。
男女の関係になっても、果たしてこの安らぎが続いてるのか。
「どうするんだ?」
硝子が問う。
顔を覆っていた両手を天井にかざしてみる。
「間違ってたよ、今まで。甘え過ぎてた」
Aに別の男ができた。
想像するだけで、身が捩れそうだ。
「硝子、やっぱり呪うしかないよ」
「は?」
「Aには、僕以外の男を選んだ事、後悔してもらわないとね」
にやりと笑って見せれば、硝子が両腕を抱きながら肩をすくめた。
「怖っっっ。前から思ってたけど、やっぱお前は重いよな」
「何言ってんの、愛情だよ」
他の男ができた女にこんなに執着するなんて、我ながら気持ち悪い、とは思うが致し方ない。
諦めきれないのだから。
「今回でよく分かった。今までの関係でずっと満足してたけど、Aを恋人って形で縛っておかなかったのは間違いだった。」
溜息をついて顔をしかめながら、続ける。
「僕達の間に訳の分かんない男が入ってくるのは、たまらなくウザくてムカつくね」
我が校の優秀医師は、眉をひそめ、心底引いた目で、僕を見た。
「だから、その愛情が重いんだって。同級生として忠告するけど、ヤバいことだけはしないでよ」
「そんな事する訳ないだろ。Aがまた僕の隣に帰ってきたくなるようにするだけさ」
ベッドから立ち上がる。
「行くのか?」
「まずはひとつ、呪いをかけにいくよ」
「Aの事、あんまり虐めたら殺すぞ」
硝子に背を向け、手をひらひらと振った。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます!自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…!嬉しすぎます。ありがとうございます!また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です!!完結おめでとうございます!新作が出たら1番に応援しに行きますね!素敵な作品を有難う御座います!! (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっと | 作成日時:2020年12月5日 14時