第31話 【雨萩さくり】 ページ37
ななもりside
ころちゃんの歌を聞き終わった後、Aはおじさんの元へ手伝いに向かった。
俺たちはお客さんということで、ここで待機してほしいと言われた。
さっきまで盛り上がっていたのに、今は誰も口を開かないほど室内が静まり返ってしまった。
別に俺たちの仲が悪いとかそういうことじゃない。ただ___。
るぅと「ー−−相変わらず、佐藤親子は仲がいいですね」
莉犬「……ね。ホント、羨ましい」
静寂な空気が流れる中、るぅりーぬは苦しそうにそう呟いた。
Aには決して言うことが出来ない、俺たちの本心。
心配を掛けたくないってのもあるけど、Aに複雑な感情を抱いているのもまた事実。
一人の女の子として好きで、自分が守っていきたいと考えてるはずなのに。
これは、一種の嫉妬とも表現出来るだろう。
幼馴染に、こんな黒い思いを抱いちゃいけないのは分かってる。
好きな女の子に、こういう感情を向けるのはおかしいって理解してる。
だけど、Aを見てると時々どうしても苦しくなるんだ。
俺たちには向けられることのない、親からの真っ直ぐな愛情を注がれてるのが羨ましくて。
家族の時間を大事にしてくれる人がいるのが、正直かなり妬ましくて。
俺は頭がぐちゃぐちゃになりそうだった。きっと俺だけじゃない。
ジェルくんたちも同じことを感じてると思う。
さとみ「……俺たちの関係って、マジで厄介だよな」
ころん「___僕さ、自分の気持ちが分からなくなる時あるんだ。
大切にしたいはずなのに、これ以上近づいたら心が壊れそうで怖い」
泣きそうな顔で心情を吐露するころちゃんの肩を抱き、俺は「それでもさ」と声を出した。
”誰にも渡したくないぐらい、本気で好きなんだよね”
そう言うと、全員真剣な表情でコクンと首を縦に振った。……みんな、一緒の気持ちなんだな。
自分は一人じゃない。そう思うと、少しだけ気持ちが楽になった気がした。
ジェル「こんなこと言ってる姿、Aには見せられへんな」
るぅと「ですね。絶対に、見せれません」
さとみ「あいつが見たら確実に世話焼こうとするからな。
余計な心配掛けないためにも、全力で演技しねーと」
さとみくんの言葉に、俺たちは”そうだね”と言って笑った。
___世界一守りたい女の子のために、俺たちは何が何でも嘘を突き通す。
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紫月まろ@相方:めんたいこ#勉強消滅させよう同盟(プロフ) - さまーさん» わ~!!ありがとうございます!お褒めいただき光栄です! (4月3日 14時) (レス) id: 5dc82e964f (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - ちょっと待って!?神同士が合作してやがる…神同士がくっついて神を超えてやがる… (4月2日 9時) (レス) id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
紫月まろ@相方:めんたいこ#勉強消滅させよう同盟(プロフ) - しーちゃんさん» 褒めていただけるのはすごく嬉しいのですが、さくり同様の意見です…。 (12月9日 19時) (レス) id: 9c4501d397 (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - しーちゃんさん» えーっと、それはしーちゃん様が手掛けた作品として投稿するということですか?それとも、こういう作品があるよ〜みたいな感じで宣伝するということですか? (12月9日 17時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
しーちゃん - このお話があまりにも素敵だったので多くの人に見てもらいたく、プリ小説と言うアプリで 同じ内容で書かせてもらってもよろしいでしょうか、、 (12月9日 17時) (レス) id: 22e9f0b0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨萩さくり x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時:2023年7月28日 19時