幼馴染から恋愛対象になる方法 【苺】

第２９話　【雨萩さくり】 ページ35

ゾロゾロとキッチンへ向こうと、お父さんが手際よく作業をしていた。


うちは両親共に料理を作るのが好きだから、交代で美味しいご飯を提供してくれる。


ありがたいことだよなぁと思っていると、


お父さんが仕込みをしながら「みんなで遊んで来なよ」と言ってくれた。











遊ぶことは全然いいんだけど、問題はどこで遊ぶかということ。


年末だから閉まってる店が多いし、開店してても学生の穴場は混雑してるだろう。


かと言って、室内で過ごすと言っても限りがあるからずっと外に出ないというのも厳しい。


う〜んと頭を悩ませていると、スマホを見ていたさとみくんが”あっ”と呟いた。









ころん「どうした」



さとみ「良いこと思い付いた。お家カラオケしようぜ」



莉犬「何それ？」



さとみ「もうその名の通りよ。


　 アプリをダウンロードしたら採点も編集も出来て、家でカラオケ気分が味わえるってやつ」










私たちは”へぇ〜”と言いながら頷いた。


みんな歌うこと好きだし、お家でカラオケが出来る結構いいかも！


「いいね」とか「おもしろそ〜！」などの言葉が飛び交い、お家カラオケをすることが決定した。











私の部屋に移動すると、さとみくんが元々ダウンロードしてたカラオケアプリを開いてくれた。


”誰から何を歌う？”という話になり、


まずはこの遊びを提案してくれた彼にトップバッターをお願いすることにした。










さとみ「俺の美しい歌声を聴いてください」


莉犬「自分で言うあたりヤバいな」


さとみ「では、歌います」









莉犬くんから厳しいツッコミが入ったけど、さとみくんは気にすることなく歌い始めた。


気持ち良さそうにアップテンポの曲を歌うさとみくんに対し、


ころちゃんが「楽しそうだなぁ、あの人」としみじみ呟いていた。


出だしはちょっと癖強かったけど、歌は上手いんだよねぇ。


声がカッコいいのも相まって、聞き心地がめちゃくちゃいい。










最後はイケボで「ありがとうございました。さとみでした」と謎の締め方をした彼は、


何と９１点という高得点を叩き出していた。


”凄いね！”と言いながら拍手すると、


さとみくんはニコニコ笑顔で「次はAが歌って」と言ってマイク代わりのスマホを渡してきた。










バトンを渡されたことに驚きながら、私は自分の十八番を選んで入力した。


ー−−目指せ、９０点以上！

第３０話　【紫月まろ。】→←第28話　【紫月まろ。】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す